プロ野球

「何かを変えるのは怖かった」西武・外崎修汰が語った苦悩と期待感。球宴前6連勝で復調気配「良い流れでいけるかなって」

THE DIGEST編集部

2023.07.22

前半戦で10本のアーチを放った外崎。後半戦巻き返しのキーマンだ。写真:滝川敏之

 オールスターゲームも終了し、いよいよ勝負の後半戦に突入するプロ野球だが、前半戦の最後に6連勝を飾り、復調気配を見せ、パ・リーグの台風の目になりそうなのが埼玉西武ライオンズだ。

 その西武で、開幕から怪我人などでベストメンバーが揃わない中、奮闘を続けてきたのが副キャプテンの外崎修汰。開幕戦で3番に座ると3安打2四球と大活躍。83試合中81試合に出場し、打率.262、10本塁打、30打点をマーク。本塁打数はマキノンと並びチームトップであり、18盗塁はソフトバンク・周東右京に次ぐリーグ2位の数字を残し、後半戦もチームを支えるキーマンとなる男だ。
 
「自分としては(シーズンの)スタートは良かったですし、いい感じに大きな波もなくて。ただ(前半戦)終盤にちょっと落ちてきたかなって部分はありますね」

 外崎も話すように、4月までは打率.313、出塁率は.400と数字が好調ぶりを示している。しかし、前半戦終盤には思うようにヒットが出ない打席が増えてきた。7月の月間打率は.206、不調は明らかだった。

 前半戦残り2試合となった7月16日の日本ハム戦。試合前の打撃練習で、高山久打撃コーチとマンツーマンでティー打撃に取り組む外崎の姿があった。力みから打撃フォームに狂いが生じていたのだ。

「(打席で)あまり長く力を入れすぎてしまうと、体が(ベース側に)入って、ボールが見えづらくなってしまうというのがあるので、そこを修正しました」(外崎)

「もうシンプルに難しいことをしないという感じですね。なんていうか、タイミングを取って普通に打ちに行く。どうしても力んでしまうと、上半身を煽ってしまうとかそういうことが出てくるので、そこをちょっと修正したというか、練習して意識づけをして試合に臨んでもらったって感じでしたね」(高山コーチ)

 その力みはチームを背負う重圧からきたものだったかもしれない。高山コーチにアドバイスを受けた16日は2安打。さらに前半最終戦となった17日にはホームランを放つなど、直ぐに結果につなげたように見えた。そんなに簡単な話ではなかった。

「(打撃の課題に)気づいていたっちゃ、気づいていたんですけど、やっぱり何かを変えるのは怖いというか。難しかったですね、変えるのは」

 多くの人は現状維持を求める。チームの中心選手となった外崎にとって、変えることで更なる悪化を招いた場合のことを考えるのも無理はない。ましてやシーズン当初は好結果が出ていたのだから尚更だ。しかし、一歩踏み出し課題と向き合ったことで、最後の2試合では4安打。自らにかかっていた霧を払い除け、チームの連勝にも大きく貢献することができた。

 苦しい戦いが続いた前半戦だが、最後は6連勝でフィニッシュ。今のチーム状況を外崎はどうみているのか。

「勝てなかった時は、先制されたあとに点差が離れて行ってしまうことが多かったのかなと思いますが、今はパッと点を取られても早めに1点でも取れているので、すごくいいと思います。競っているときや、僅差でしまった中で試合をしていたら、(守備でも)いいプレーができるんじゃないかと思っています」
 
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