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MLB

脆くも崩れ去ったエンジェルスの「大谷引き留め戦略」。モレノ・オーナーが再び球団身売りに動く可能性も?<SLUGGER>

JP・フーンストラ

2023.08.22

大谷は結局、エンジェルスではプレーオフに出場できないまま終わるのだろうか?(C)Getty Images

大谷は結局、エンジェルスではプレーオフに出場できないまま終わるのだろうか?(C)Getty Images

 2023年のシーズンが始まった時、大谷翔平は次の契約についての考えは脇に押しやると決意していた。一方、エンジェルスは二刀流のスーパースターを何としても引き留めたいと考えていた。そのためには「近い将来、チームはワールドシリーズ優勝を狙える」と大谷を説得する必要があった。

 シーズンを通じて、ペリー・ミナシアンGMはアグレッシブに若手有望株をメジャーに昇進させ続けた――実際にメジャー昇格の準備が整っていたかどうかは別として。最初はザック・ネト、続いてサム・バックマン、ベン・ジョイス、そして今年6月のドラフトで指名したばかりのノーラン・シャヌエルまで。アンソニー・レンドーン、マイク・トラウト、ジオ・アーシェラ、ブランドン・デュルーリー、テイラー・ウォードと主力に怪我人が相次ぐと、エデュアルド・エスコバー、マイク・ムスタカス、CJ・クロン、ランダル・グリチック、ルーカス・ジオリトら別のベテラン選手たちを獲得した。

 だが、そうした努力も虚しく、8月1日のトレード・デッドライン当日からの7連敗でエンジェルスは今季もまたプレーオフ争いから脱落することになった。大谷にチームが持続的に成功するためのプランを提示するどころか、8月下旬を迎えた時点で勝率5割にすら届いていない。大谷はアナハイムでの6年間で一度もプレーオフにできない可能性が極めて高くなった。
 
 もっとも、ミナシアンGMのアプローチは同業者から批判を受けているわけではない。GMの椅子に座っているのが誰であれ、オーナーのアート・モレノは明確な責務を課している――メジャーリーグのロースターには積極的に投資するが、対照的に強靭なファームシステムを維持することには関心を払わない。モレノはしばしば自らFA選手と交渉に臨む。そうして獲得したFA選手が期待を裏切っても、GMは手の打ちようがない。

 オーナーによるミナシアンGMの積極的な若手抜擢とベテラン補強は、「Win Now(今すぐ勝て)」というオーナーからの大号令によるものだった。8月を迎えた時点で、チームはワイルドカード3位から3ゲーム差で、2014年以来のポストシーズン進出は手が届く場所にあるかと思われた。積極的な途中補強により総年俸はぜいたく税課税ラインを超える見込みで、これはモレノがオーナーになってからの約20年間で極めて異例のことだ。

 一連の「オールイン」の姿勢はファンにプレーオフの興奮を味わってもらうことだけでなく、大谷を引き留めるためであることは誰の目にも明らかだった。

 マイナー有望株捕手のエドガー・クエロ、同じく有望株左腕のカイ・ブッシュを放出してホワイトソックスからジオリト、レイナルド・ロペスの2投手を獲得したトレードを例にとってみよう。ジオリトはキャリアを通じてほぼ平均レベルの先発投手で、今季終了後にFAとなる。100マイルの剛速球が武器のリリーフ右腕ロペスも同じだ。
 
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