高校野球

【氏原英明が選ぶ甲子園ベストナイン】能力だけでなくチームでの存在感なども加味した結果、優勝した慶応から最多の3人を選出<SLUGGER>

氏原英明

2023.08.26

優勝した慶応からはエース小宅(左)をはじめ3人、準優勝の仙台育英からも、正捕手・尾形(中央)を含め2人が選ばれた一方、ベスト8を逃した履正社からも森田(右)が選出された。 写真:THE DIGEST写真部

 筆者は今年で21年連続の甲子園観戦となり、これまでもたくさんの逸材たちを見てきた。今大会はやや迫力不足が否めないと感じたが、選手としての能力だけの評価ではなく、チームでの存在感など印象度も含めてベストナインを選出した。

【右投手】小宅雅己(慶応2年)
【左投手】藤本土生(土浦日大3年)
【捕 手】尾形樹人(仙台育英3年)
【一塁手】延末藍太(慶応3年)
【二塁手】千葉柚樹(花巻東3年) 
【三塁手】森田大翔(履正社3年)
【遊撃手】後藤陽人(土浦日大3年)
【外野手】鈴木拓斗(仙台育英2年)
【外野手】丸田湊斗(慶応3年)
【外野手】正林輝大(神村学園2年)

 投手は右が湯田統真(仙台育英3年)と小宅の二択で、どちらも甲乙つけがたかった。大会開幕日から登板し、チームのすべての勝利に貢献した湯田もインパクトを残したが、準決勝の土浦日大戦で完封勝利、決勝でもリリーフで試合を締めた慶応のエース小宅を選出した。
 
 一方の左腕は、土浦日大の藤本が5試合に登板して防御率1.29をマークした。プロでも通用するレベルのスライダーが武器の黒木陽琉(神村学園3年)も優れていたが、「試合の一番大事な場面はエースに託す」という小菅勲監督の期待に見事応えた存在感の大きさを重視し、藤本に軍配を上げた。

 捕手は仙台育英の尾形が評判以上の活躍。守っては強肩やインサイドワークが素晴らしく、打っては2本塁打をマークするなどケチのつけようがなかった。惜しくも次点となったが、尾形とともにU-18日本代表に選ばれた新妻恭介(浜松開誠館3年)も、豪快な一発で甲子園を沸かせた。

 一塁手は前評判の高かった佐々木麟太郎(花巻東3年)、真鍋慧(広陵3年)、佐倉俠史朗(九州国際大付3年)の3選手が軒並み不調だったこともあり、広陵との3回戦で5打点を挙げるなど、勝負強い打撃が光った延末を選出した。

 大会第1号本塁打を放ち、土浦日大のベスト4進出の立役者でもある松田陽斗は、3回戦・専大松戸戦では好走塁も披露。二刀流で力強い打撃を披露した熊谷陽輝(北海3年)も気になった選手だった。
 
NEXT
PAGE
逸材の早期敗退が続いた遊撃は……