2023年シーズンも残り1ヵ月余り。今季から各球団に加わった助っ人たちはどのような働きを見せているのか。チームごとに通信簿形式(「よくできました」「まずまずです」「可もなく不可もなく」「がんばりましょう」)で採点してみよう。
■阪神
評価:がんばりましょう
近年は"当たり"続きだったが、現状で一軍の戦力になれている選手は救援のビーズリーぐらい。まだ16登板だけではあるが、奪三振率9.82は岩崎優に次ぐ水準で、平均150キロ超えのストレートを武器に力強い投球を続けている。7月に加入したブルワーも、8月の一軍デビューから3戦連続3者凡退と幸先良く滑り出した。対照的に、打者はノイジーが5本塁打、ミエセスが4本と誤算。ノイジーはチーム人気にも助けられてオールスター出場こそ果たしたものの、総合勝利貢献度WAR-1.8は12球団の全選手でワーストに沈んでいる。
■広島
評価:可もなく不可もなく
唯一の新加入助っ人であるデビッドソンがチーム最多の17本塁打を放ち、巧打者揃いの打線にパワーを加えている。とりわけ巨人戦は8本でOPS1.000と滅法強く、印象も強い。ただし、三振率30.8%は200打席以上の打者では12球団ワーストと粗さも目立ち、打順は6?7番での起用が多い。8月は26日の来日初の2ホーマー含む7発と、適応も感じさせるだけに、残りシーズンでどれだけ上積めるか。守備では主に三塁を守りながら一塁もこなし、柔らかいグラブさばきを披露している。
■DeNA
評価:よくできました
元サイ・ヤング賞投手バウアーの奮闘だけで大きなプラスを計上している。中4日中心でフル回転し、一軍合流が5月だったにもかかわらず最多勝や最多奪三振などのタイトルも狙える位置につけているのは凄い。味方に檄を飛ばすなど、リーダーとしての存在感も見逃せない。ブルペンで山崎康晃ら実績組が苦しんでいる中、防御率1.25でチーム2位の24ホールドを稼いでいるウェンデルケンの貢献も見逃せない。一方で、アンバギーは二軍でも打率.148と散々で、一軍昇格の声がかかりそうにない。 ■巨人
評価:よくできました
新助っ人の躍動がなければ、さらに厳しい戦いを強いられていたに違いない。グリフィンは防御率3.06こそ特筆すべき数字ではないが、総合指標WAR3.5はセ・リーグの全投手で3位、助っ人では12球団ベストの数値だ。同じ左腕のメンデスとバルドナードも面白い存在で、前者はすでに12先発で防御率2.26と結果を残し、後者も一軍と二軍の両方で1点台と、ともに190cmを超えるパワーピッチャーとして化ける可能性を示している。ビーディは先発2戦目から4連敗を喫して白星なしも、再昇格した6月からは救援で防御率2.60と安定。野手ではブリンソンがセンターでワイルドな守備を再三披露し、打力ではウォーカーに見劣りするが、総合的な貢献値は上回っている。
■ヤクルト
評価:可もなく不可もなく
新加入のピーターズが、2年目のサイスニードと左右の30歳助っ人コンビを形成。ストレートの球速は平均的だが多彩な球種を操り、与四球率1.65の制球力を武器にうまくゲームメイクしている。当初は100球未満での交代が多かったが、8月は全4先発で100球をクリア。規定投球回到達は難しそうでも、防御率2.76は先発陣で一番の安定感だ。一方、メジャーで実績を残していたケラは7月半ばで自由契約。エスピナルも二軍で打ち込まれ、8月に同じく自由契約となった。
■中日
評価:がんばりましょう
メジャーでパワーを発揮したアキーノの長打力には期待が集まったが、日本で実績のあるアルモンテとともに打率.150台で1本塁打ずつと、完全に計算が狂った。カリステも内野のユーティリティに過ぎず、主砲ビシエドの不振をまったくカバーできていない。アピールに成功しているのはWBCパナマ代表のメヒアで、6月の支配下登録後は6先発すべて2失点以内と好投。だが、8月2日の試合で途中降板し、右大胸筋損傷と診断されて戦列を離れた。メジャー通算228登板のフェリスは7月に支配下へ登録され、8月の4登板を無失点に抑えている。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
■阪神
評価:がんばりましょう
近年は"当たり"続きだったが、現状で一軍の戦力になれている選手は救援のビーズリーぐらい。まだ16登板だけではあるが、奪三振率9.82は岩崎優に次ぐ水準で、平均150キロ超えのストレートを武器に力強い投球を続けている。7月に加入したブルワーも、8月の一軍デビューから3戦連続3者凡退と幸先良く滑り出した。対照的に、打者はノイジーが5本塁打、ミエセスが4本と誤算。ノイジーはチーム人気にも助けられてオールスター出場こそ果たしたものの、総合勝利貢献度WAR-1.8は12球団の全選手でワーストに沈んでいる。
■広島
評価:可もなく不可もなく
唯一の新加入助っ人であるデビッドソンがチーム最多の17本塁打を放ち、巧打者揃いの打線にパワーを加えている。とりわけ巨人戦は8本でOPS1.000と滅法強く、印象も強い。ただし、三振率30.8%は200打席以上の打者では12球団ワーストと粗さも目立ち、打順は6?7番での起用が多い。8月は26日の来日初の2ホーマー含む7発と、適応も感じさせるだけに、残りシーズンでどれだけ上積めるか。守備では主に三塁を守りながら一塁もこなし、柔らかいグラブさばきを披露している。
■DeNA
評価:よくできました
元サイ・ヤング賞投手バウアーの奮闘だけで大きなプラスを計上している。中4日中心でフル回転し、一軍合流が5月だったにもかかわらず最多勝や最多奪三振などのタイトルも狙える位置につけているのは凄い。味方に檄を飛ばすなど、リーダーとしての存在感も見逃せない。ブルペンで山崎康晃ら実績組が苦しんでいる中、防御率1.25でチーム2位の24ホールドを稼いでいるウェンデルケンの貢献も見逃せない。一方で、アンバギーは二軍でも打率.148と散々で、一軍昇格の声がかかりそうにない。 ■巨人
評価:よくできました
新助っ人の躍動がなければ、さらに厳しい戦いを強いられていたに違いない。グリフィンは防御率3.06こそ特筆すべき数字ではないが、総合指標WAR3.5はセ・リーグの全投手で3位、助っ人では12球団ベストの数値だ。同じ左腕のメンデスとバルドナードも面白い存在で、前者はすでに12先発で防御率2.26と結果を残し、後者も一軍と二軍の両方で1点台と、ともに190cmを超えるパワーピッチャーとして化ける可能性を示している。ビーディは先発2戦目から4連敗を喫して白星なしも、再昇格した6月からは救援で防御率2.60と安定。野手ではブリンソンがセンターでワイルドな守備を再三披露し、打力ではウォーカーに見劣りするが、総合的な貢献値は上回っている。
■ヤクルト
評価:可もなく不可もなく
新加入のピーターズが、2年目のサイスニードと左右の30歳助っ人コンビを形成。ストレートの球速は平均的だが多彩な球種を操り、与四球率1.65の制球力を武器にうまくゲームメイクしている。当初は100球未満での交代が多かったが、8月は全4先発で100球をクリア。規定投球回到達は難しそうでも、防御率2.76は先発陣で一番の安定感だ。一方、メジャーで実績を残していたケラは7月半ばで自由契約。エスピナルも二軍で打ち込まれ、8月に同じく自由契約となった。
■中日
評価:がんばりましょう
メジャーでパワーを発揮したアキーノの長打力には期待が集まったが、日本で実績のあるアルモンテとともに打率.150台で1本塁打ずつと、完全に計算が狂った。カリステも内野のユーティリティに過ぎず、主砲ビシエドの不振をまったくカバーできていない。アピールに成功しているのはWBCパナマ代表のメヒアで、6月の支配下登録後は6先発すべて2失点以内と好投。だが、8月2日の試合で途中降板し、右大胸筋損傷と診断されて戦列を離れた。メジャー通算228登板のフェリスは7月に支配下へ登録され、8月の4登板を無失点に抑えている。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
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