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平野が日米通算250セーブの偉業達成! 若手と切磋琢磨しながら投げ続ける守護神が目指す2年連続日本一【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.10.03

21年に37歳でNPBへ復帰。その後3年間で計86セーブと、クローザーとしての力量に衰えはない。写真:野口航志

 オリックスの守護神、平野佳寿が10月2日の日本ハム戦最終回に登板。先頭の中島卓也にヒットを許したものの後続を抑えて、日米通算250セーブを達成した。これは岩瀬仁紀(407セーブ)、佐々木主浩(381セーブ)、高津臣吾現ヤクルト監督(313セーブ)に次ぐ歴代4位の記録で、平野はNPBで242セーブ、MLBで8セーブを記録している。

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 入団当初は速球派の先発として起用され、ルーキーイヤーにはオールスターにも出場した平野だが、転機が訪れたのは2010年だ。この年から就任した岡田彰布監督(現阪神監督)が中継ぎへのコンバートを決断。岸田護(現投手コーチ)や小松聖(現スカウト)らとともに、勝利の方程式に組み込まれた。7~8回を担うセットアッパーとして地位を確立し、同年は4年ぶりのオールスター出場も果たしている。

 その後平野は、13年から守護神に就任。翌年には40セーブでタイトルも獲得している。17年WBCでは侍ジャパン、18~20年はメジャーでセットアッパーを務め、21年のオリックス復帰後も再びクローザーとして活躍していた。通算250セーブまであと3つに迫っていた時は、取り囲んだ報道陣に照れ笑いを浮かべながらも、「やることをやって、あとは監督、コーチがそこを選んでくれたら投げるだけ」と、淡々と話していたのを覚えている。
 
 現在は40歳の比嘉幹貴とともに、ブルペンの精神的支柱となっている。「ほんと、若い子に負けないように。いい子がいっぱいいるんで、切磋琢磨しながら一緒に来られてるんじゃないかなと思います。やっぱ、彼らに負けないように頑張ろうと思いますしね。それが刺激になっているのかなと思います」。小木田敦也や阿部翔太、宇田川優希、山崎颯一郎、山岡泰輔らと競い合うことが、鉄壁なブルペンを築き上げている理由だと語っていた。

 記念すべき日はエースの山本由伸が先発して7回までを、さらに8回を山岡が抑え、平野へと無失点でつないだ。「今日も(山本)由伸が『(250セーブ)やりましょうね』と言ってくれて、山岡といい感じに繋いでくれた」と後輩たちに感謝をささげつつ、「8回は初めて敵のチームを応援しましたね。このまま(3点リードのまま)で頼むと。後にも先にも相手チームを応援するのはこれが初めてかなと思いました」と報道陣を和ますのも忘れなかった。

 こだわったのは、本拠地での偉業達成だ。「それは一番ですね。みなさんいつも応援してくれて凄い力になりますし、節目節目がビジター(での達成)が多かったので、250(セーブ)はホームでやりたいと思った」と言う。

 金字塔達成後は歓喜のシャワーをチームメイトから浴びせられて喜びつつも、「まだクライマックスもあるのに、僕の大事なグローブをあいつら濡らしに来たので、ちょっとそれは怒ってますけど(笑)。(中略)残りのシーズンもクライマックスも日本シリーズも、頑張っていきたいと思う」と、力強く語った平野。「気合い」で投げ続けているという守護神は、チームを2年連続の日本一へと導いていく。かつて自身をリリーフの道へと導いた"恩師"岡田監督が率いる阪神との対戦となれば、これもひとつのドラマだろう。

取材・文⚫︎どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させたことも。

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