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【CSファーストステージ展望:パ・リーグ】初戦は佐々木朗vsスチュワートのメジャー級の投げ合い。第3戦までもつれればソフトバンク有利?<SLUGGER>

藤原彬

2023.10.14

佐々木朗(右)vs二冠王の近藤(左)など、“侍ジャパン”対決にも注目が集まる。オリックスとリーグ優勝を競うのは果たして? 写真:THE DIGEST写真部

 いよいよ10月14日から、クライマックスシリーズが始まる。パ・リーグのファーストステージでは、シーズン直接対決で12勝12敗1分で五角だったロッテとソフトバンクがぶつかる。ファイナルステージ進出を賭けた戦いを前に、両チームのポイントになりそうな要素を探る。

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■メジャー級の初戦投げ合いに注目!
 クライマックスシリーズは過去32シリーズが行われたが、そのうち初戦黒星でファーストラウンドを勝ち抜いたチームはわずか5チームしかなく、突破率は15.6%でしかない。となれば、第1戦で先発する佐々木朗希とカーター・スチュワートの出来がシリーズの行方を大きく左右するはずだ。

 ともにスピードボールが最大の魅力の両者だが、奪三振率は佐々木が13.35に対し、スチュワートは7.80で、倍近い開きがある。とはいえ、佐々木は約1ヶ月ぶりの登板となるだけに、本来の力で投げられるかも注目される。一方のスチュワートも、ロッテは2先発して計10投球回で10四球、防御率7.20で2敗を喫するなど苦手の相手。それぞれ不安材料も抱える2人だが、それを乗り越えてシリーズ開幕戦らしい緊迫した投げ合いを期待したい。

■"令和の怪物"を打ち崩すのは誰だ
 先発のマッチアップだけを考えれば初戦はややロッテ有利に見えるが、ソフトバンクには佐々木をよく打っている打者もいる。今季は中村晃が10打数4安打、牧原大成も9打数3安打と相性が良い。ただしその一方で、近藤健介が8打数無安打、柳田悠岐が11打数1安打と中軸の2人は2年連続で打率1割未満に封じられた。
 
 佐々木が万全であれば連打や長打は難しい。打線全体で小技も交えながら球数を消費させて、こつこつ崩すための工夫も必要かもしれない。ちなみに佐々木は豪快な投球フォームが災いしてか、昨季は投手でリーグ最多の5失策を記録するなどエラーが多い。守備の拙さもつけ入るすきになるか?

■第3戦までもつれたらソフトバンク有利?

 両軍で大きな差があるのはブルペンの質で、ソフトバンクの救援防御率2.68はリーグベスト。一方、ロッテの救援防御率3.35はリーグワーストと、実に対照的だ。ソフトバンクは先発陣全体の792.2投球回はリーグで最も少なく、ブルペンへの依存度が高かったにもかかわらずこの数字。ロッテとの直接対決ではソフトバンクが14登板無失点の松本裕樹を筆頭に好成績を残している。

 ただでさえブルペンの質に差があるのに加えて、ロッテの第3戦先発も予想される小島和哉はソフトバンク戦の5先発で防御率4.45と相性が悪い。勝った方がファイナルステージに進出する最終戦ではブルペンも総動員が予想されるだけに、対ソフトバンク戦の防御率が0.96と好相性の益田直也に、うまくつなげるかが鍵を握るだろう。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。

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