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プロ野球

50歳まで投げた鉄腕は通算6登板で白星をつかめず、シリーズワースト5連敗を喫した西武の大エース...日本シリーズ未勝利に終わった男たち<SLUGGER>

藤原彬

2023.10.31

最多勝3回をはじめ数々のタイトルを手にしたかつての大エース山本昌も日本シリーズでは未勝利。“山本の呪い”が日本シリーズにはあるのか? 写真:産経新聞社

最多勝3回をはじめ数々のタイトルを手にしたかつての大エース山本昌も日本シリーズでは未勝利。“山本の呪い”が日本シリーズにはあるのか? 写真:産経新聞社

 やはり日本シリーズは別物なのかーー。今季も圧倒的な力を誇示した山本由伸(オリックス)が、日本シリーズ初戦では無念のKO。通算4先発でいまだ白星がない。球界最高の投手であっても、頂点を決める戦いの中で勝つのは難しい。同じように最高の才能を持ちながら、日本シリーズではついぞ白星と縁のなかった名投手たち4人を紹介しよう。

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■小山正明
“精密機械”と称された針の穴を通す制球力が持ち味で、歴代3位の通算320勝を積み上げた大投手も、日本シリーズでは計7登板で未勝利。阪神に在籍していた1962年はシーズン26完投&27勝と八面六臂の活躍で沢村賞に選出されたが、東映との日本一を賭けた戦いは3先発で0勝2敗に終わった。

 特に天下分け目の第7戦では、9回無失点に抑えながら延長10回表に先制点を許して決着がついたと思い込み、その裏にチームが同点に追いついた時には風呂に入っいたというエピソードが残されている(試合はWエースの村山実が急きょリリーフしたが決勝弾を打たれて敗れた)。ロッテ時代の70年にも1勝3敗で後がない第5戦に先発マウンドを託されたが白星はつかめず巨人に日本一を許すなど、とにかく頂上決戦では踏ん張れないことが続いた。

■皆川睦雄
 1954年に南海入団。プロ入り後に肩を痛めてアンダースローへ転向してから開花し、68年にはリーグ最多の31勝を挙げた“最後の30勝投手”。通算221勝と実績も十分ながら、日本シリーズでは3度出場して計4先発で4敗と勝ち運がなかった。特に66年の巨人とのシリーズでは、第4戦で2回途中KO、第6戦でも4回途中に降板して2敗。この点は、同じ下手投げで同い年の大投手・杉浦忠が58年に4連投4連勝で日本一の立役者となったのは対照的で、「杉浦の陰で咲く花」と呼ばれたのもやむなしか。
 
■山本昌
 50歳まで現役を続けた鉄腕は6度のリーグ優勝を経験しているが、もけっきょく白星は手にできないままだった。初めての頂上決戦はプロ5年目の1988年で、第3戦で同じサウスポーの工藤公康(西武)に土をつけられた。2004年は2度の先発機会でいずれも松坂大輔(西武)と投げ合ったが、勝ち投手にはなれず。99年も

 9月に左ヒジを骨折しながらも臨んだ06年の日本シリーズは、第2戦で6回まで1失点の好投も7回に崩れて敗戦投手になった。現役中はチームが日本シリーズ進出5度を数えるも、日本一は1回のみ。自身もシリーズ通算で6試合に登板し、計30イニングを積み重ねながらも未勝利だった。

■西口文也
「消える魔球」とも言われたスライダーが武器に、1990年代に西武の大エースとして君臨。ところが日本シリーズでは本領発揮とはいかず、シーズンMVPと沢村賞にも輝いた97年はヤクルトとのシリーズ初戦でマウンドに上がり、1失点完投も黒星、第5戦も敗戦投手となってヤクルトの胴上げが決まった。翌98年も初戦で横浜の“マシンガン打線”に2回途中4失点でKOされ、第6戦には再び目の前で相手の日本一を見せつけられた。日本シリーズ5連敗はワースト記録。引退会見の際に、ノーヒットノーランを3度逃したことと併せて日本シリーズ未勝利も心残りに挙げていた。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。

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