12月8日、第2回現役ドラフトが行われた。昨年の第1回からは細川成也(中日)、大竹耕太郎(阪神)と2人のオールスター選手が生まれた半面、1年で戦力外になった選手も6人出た。
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2人だけでも大きな収穫があったのだから、現役ドラフトには間違いなく意義がある。しかしながら、課題がないわけではない。全指名選手の半数に当たる6人も戦力外になったのは、その程度の選手しか拠出されなかったことと同時に、球団側が「取りたいわけでもない選手を取らざるを得なかった」からでは、とも推測できる。
これは、全球団が必ず1人は獲得しなければならない、というルールが存在するためだ。指名権が放棄できないので、一応余っている中から選んだものの、当初から大して使うつもりはなく、チャンスもあまり与えなかった......という事態に至ったのではないだろうか。
例えば、広島から楽天へ移るも1年で退団した正随優弥は、イースタン・リーグではOPS.827。規定打席不足ながら、リーグ3位に相当する数字であった。ところが、一軍での出場機会はたった1試合、2打席しかなかった。楽天にとって、正随がやむを得ず獲得した選手だったかどうかは分からない。だが指名されずに前のチームに残っていたほうが、まだチャンスは多かった......というケースは、他にもあったと思われる。
そもそも、球団側が誰を拠出するか決めるシステムに問題がありはしまいか。翌年も戦力として計算している者を差し出すわけがないのだから、出回るのは戦力外に近いレベルであるのは当たり前。自由契約要員の中から1~2人を現役ドラフトに回している、というチームが多数派だろう。
もちろん、ある球団では構想外でも他の球団ではそうではない、という場合も十分にあり得るから、まったく無意味なわけではない。けれども、成功する確率は低くても仕方がない。「戦力外選手のシャッフル」では、実施する意味も薄いだろう。
そうした事態を防ぎ、より魅力のある選手を供出させるために捻り出されたのが「他球団からの指名が最も多かった選手の所属するチームが、1番目の指名権を得られる」という指名方式。欲しい選手を取るためには、まず自分たちが他球団にアピールできる選手を出せばいい、というわけだ。
しかし、そうした考えのチームが一つしかなく、他の11球団は戦力外レベルしか出してこなかったら、1番目の指名権を得たところで損するだけ。仕方なく取った選手が所属していたチームに2番目の指名権で「魅力のある選手」を取って大儲け、という不公平が起こりかねない。細川と大竹が大活躍したため、今年はますます損するのを警戒し、限りなく戦力外に近い選手しか出てこない......といった事態も考えられる。
こうした状況を回避し、現役ドラフトを本来の趣旨に沿ったものにするには、やはり球団側が選手をピックアップするやり方は改めるほうがいい。MLB版の現役ドラフトとも言うべきルール5ドラフトでは、一定の条件に当てはまる選手はもれなく指名対象となる。それでは範囲が広くなり過ぎるというなら、FAの人的補償の際に作成されるプロテクトリストを、現役ドラフトでも用意すればいい。そこから外れた者は全員指名可能とするだけで、指名される選手の質は今より高くなるはずだ。
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