レンジャーズが球団史上初の世界一を勝ち取って幕を閉じた、2023年のMLBペナントレース。その結末に至るまでにしのぎを削った全30球団の戦いぶりを通信簿形式で採点した。今回はア・リーグ東地区の5球団をお送りしよう。
※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正
【関連記事】由伸の巨額契約金は大谷の後払いのおかげ?両選手の規格外契約に見え隠れするドジャースの“深謀遠慮”<SLUGGER>
▼オリオールズ
101勝61敗 勝率.623(地区1位)
通信簿:よくできました
開幕前はダークホース扱いだったが、1試合だけの10月を除いて負け越し月間なし。後半戦開始後すぐ地区首位に立つと、その座を一度も譲らず9年ぶりの優勝。101勝は1979年以来44年ぶりの高水準だった。
弱点と思われた投手陣は防御率リーグ5位と大健闘。奪三振能力は低いが、無駄な四球を出さず、被本塁打177本も2番目の少なさで大量失点を防いだ。特に後半戦は、カイル・ブラディッシュとグレイソン・ロドリゲスが先発ローテーションで躍動。フェリックス・バティスタとイェニアー・カノーがオールスターに選ばれたブルペンも強力だった。
野手陣も得点は前年のリーグ10位から4位へ躍進。新人王ガナー・ヘンダーソンがチーム最多の28本塁打を放ち、2年目のアドリー・ラッチマンも正捕手として攻守で中心となった。ライアン・オハーンやアーロン・ヒックスら、他球団をお払い箱になった選手を活用した補強も適切だった。プレーオフでは残念な結果に終わり、さらなる先発陣のアップグレードは必要だが、今後4~5年は優勝を争える態勢が整ったと言えるだろう。
文●出野哲也
▼レッドソックス
78勝84敗 勝率.481(地区5位)
通信簿:ガッカリです
トレード・デッドラインまでは何とかプレーオフ圏内に踏みとどまる粘り腰を見せたが、8月以降はズルズルと負けが込んで最終的には地区最下位というパターンは、まるで2022年の繰り返し再生。78勝84敗という成績もまったく同じだった。
苦戦の要因は、開幕前から懸念されていた通り弱体投手陣にあった。ネイサン・イオバルディ(現レンジャーズ)との再契約を見送って獲得した元サイ・ヤング賞投手のコリー・クルーバーは、見ていて気の毒になるほど打たれまくり。若手のブライアン・ベイオは将来性を示したが、それでも最初から最後まで軸になる存在がいなかった。攻撃力もリーグ平均をわずかに上回る程度で、投手陣を援護することはできず。新加入の吉田正尚も後半戦に調子を落とし、アレックス・コーラ監督からもスタミナ不足を指摘する声が出た。
シーズン終了を待たずにハイム・ブルームCBOは解任され、”レイズ流”の合理経営が失敗したことを球団自ら認める形となった。後任のクレイグ・ブレズロウCBOが、どのような哲学で再建を図るのか注目される。
文●SLUGGER編集部
※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正
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▼オリオールズ
101勝61敗 勝率.623(地区1位)
通信簿:よくできました
開幕前はダークホース扱いだったが、1試合だけの10月を除いて負け越し月間なし。後半戦開始後すぐ地区首位に立つと、その座を一度も譲らず9年ぶりの優勝。101勝は1979年以来44年ぶりの高水準だった。
弱点と思われた投手陣は防御率リーグ5位と大健闘。奪三振能力は低いが、無駄な四球を出さず、被本塁打177本も2番目の少なさで大量失点を防いだ。特に後半戦は、カイル・ブラディッシュとグレイソン・ロドリゲスが先発ローテーションで躍動。フェリックス・バティスタとイェニアー・カノーがオールスターに選ばれたブルペンも強力だった。
野手陣も得点は前年のリーグ10位から4位へ躍進。新人王ガナー・ヘンダーソンがチーム最多の28本塁打を放ち、2年目のアドリー・ラッチマンも正捕手として攻守で中心となった。ライアン・オハーンやアーロン・ヒックスら、他球団をお払い箱になった選手を活用した補強も適切だった。プレーオフでは残念な結果に終わり、さらなる先発陣のアップグレードは必要だが、今後4~5年は優勝を争える態勢が整ったと言えるだろう。
文●出野哲也
▼レッドソックス
78勝84敗 勝率.481(地区5位)
通信簿:ガッカリです
トレード・デッドラインまでは何とかプレーオフ圏内に踏みとどまる粘り腰を見せたが、8月以降はズルズルと負けが込んで最終的には地区最下位というパターンは、まるで2022年の繰り返し再生。78勝84敗という成績もまったく同じだった。
苦戦の要因は、開幕前から懸念されていた通り弱体投手陣にあった。ネイサン・イオバルディ(現レンジャーズ)との再契約を見送って獲得した元サイ・ヤング賞投手のコリー・クルーバーは、見ていて気の毒になるほど打たれまくり。若手のブライアン・ベイオは将来性を示したが、それでも最初から最後まで軸になる存在がいなかった。攻撃力もリーグ平均をわずかに上回る程度で、投手陣を援護することはできず。新加入の吉田正尚も後半戦に調子を落とし、アレックス・コーラ監督からもスタミナ不足を指摘する声が出た。
シーズン終了を待たずにハイム・ブルームCBOは解任され、”レイズ流”の合理経営が失敗したことを球団自ら認める形となった。後任のクレイグ・ブレズロウCBOが、どのような哲学で再建を図るのか注目される。
文●SLUGGER編集部
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