レンジャーズが球団史上初の世界一を勝ち取って幕を閉じた、2023年のMLBペナントレース。その結末に至るまでにしのぎを削った全30球団の戦いぶりを通信簿形式で採点した。今回はア・リーグ中地区の5球団をお送りしよう。
※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正
【関連記事】由伸の巨額契約金は大谷の後払いのおかげ?両選手の規格外契約に見え隠れするドジャースの“深謀遠慮”<SLUGGER>
▼ホワイトソックス
61勝101敗 勝率.377(地区5位)
通信簿:ガッカリです
ペドロ・グリフォル新監督を迎えて心機一転、地区覇権奪回を目指したシーズンのはずが、球団史上有数の悲惨な一年になってしまった。開幕早々につまずいて4月だけで20敗、特に19日からは10連敗。5月は勝ち越すなど一時は持ち直したかに見えたが、7月に再び大きく負け越し、ランス・リン(→ドジャース)やルーカス・ジオリト(→エンジェルス)、25本塁打を放っていたジェイク・バーガー(→マーリンズ)らを放出し解体に踏み切った。
投手陣は防御率4.88が前年から1点近く悪化。先発陣は奪三振率こそ9.24でリーグ3位でも、与四球率4.11がワースト2位では台無しだった。クローザーのリアム・ヘンドリクスを病で欠いたブルペンも、防御率4.88は下から3番目だった。
打線も出塁率.291は最下位。元首位打者のティム・アンダーソンが極度の不振に陥り、イーロイ・ヒメネスは伸び悩み、新加入のアンドリュー・ベニンテンディも期待外れで、38本塁打のルイス・ロバートJr.だけが奮闘した。退団した選手たちが口々にチーム内の規律の欠如を指摘するなど、組織自体が完全に崩壊していた模様。ケビン・ウィリアムズ球団社長とリック・ハーンGMが責任を問われて更迭されたのも当然だった。
文●出野哲也
▼ガーディアンズ
76勝86敗 勝率.469(地区3位)
通信簿:がんばりましょう
若さを前面に押し出して地区優勝を遂げた前年から一転、今季はプレーオフ出場に届かなかった。本命なき地区で6月28日に借金1ながら首位に立ち、7月30日には一度借金を完済したが、その後は二度と勝ち越せなかった。分水嶺は夏のトレードで、クラブハウスでも存在感を発揮していたアーロン・シーバリ(→レイズ)やジョシュ・ベル(→マーリンズ)の放出は、ナインに少なくない動揺を与えた。
ただ、防御率3点台を死守した投手陣では、ルーキーのタナー・ビビー、ローガン・アレン、ギャビン・ウィリアムズがローテーションに定着し、来季以降への大きな光明になった。このオフはクローザーのエマニュエル・クラッセにつなぐまでのリリーフ投手と、メジャー最少の124本塁打に終わった打線、特に外野のパワー向上が補強ポイントに挙がる。ジョシュとボーのネイラー兄弟や、夏のトレードで獲得したカイル・マンザードら若手の成長も来季はポイントになるだろう。
また、11年間も指揮を執ったテリー・フランコーナ監督退任で一時代が終わり、来季から就任するスティーブン・ボート新監督の手腕にも注目が集まる。
文●藤原彬
※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正
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▼ホワイトソックス
61勝101敗 勝率.377(地区5位)
通信簿:ガッカリです
ペドロ・グリフォル新監督を迎えて心機一転、地区覇権奪回を目指したシーズンのはずが、球団史上有数の悲惨な一年になってしまった。開幕早々につまずいて4月だけで20敗、特に19日からは10連敗。5月は勝ち越すなど一時は持ち直したかに見えたが、7月に再び大きく負け越し、ランス・リン(→ドジャース)やルーカス・ジオリト(→エンジェルス)、25本塁打を放っていたジェイク・バーガー(→マーリンズ)らを放出し解体に踏み切った。
投手陣は防御率4.88が前年から1点近く悪化。先発陣は奪三振率こそ9.24でリーグ3位でも、与四球率4.11がワースト2位では台無しだった。クローザーのリアム・ヘンドリクスを病で欠いたブルペンも、防御率4.88は下から3番目だった。
打線も出塁率.291は最下位。元首位打者のティム・アンダーソンが極度の不振に陥り、イーロイ・ヒメネスは伸び悩み、新加入のアンドリュー・ベニンテンディも期待外れで、38本塁打のルイス・ロバートJr.だけが奮闘した。退団した選手たちが口々にチーム内の規律の欠如を指摘するなど、組織自体が完全に崩壊していた模様。ケビン・ウィリアムズ球団社長とリック・ハーンGMが責任を問われて更迭されたのも当然だった。
文●出野哲也
▼ガーディアンズ
76勝86敗 勝率.469(地区3位)
通信簿:がんばりましょう
若さを前面に押し出して地区優勝を遂げた前年から一転、今季はプレーオフ出場に届かなかった。本命なき地区で6月28日に借金1ながら首位に立ち、7月30日には一度借金を完済したが、その後は二度と勝ち越せなかった。分水嶺は夏のトレードで、クラブハウスでも存在感を発揮していたアーロン・シーバリ(→レイズ)やジョシュ・ベル(→マーリンズ)の放出は、ナインに少なくない動揺を与えた。
ただ、防御率3点台を死守した投手陣では、ルーキーのタナー・ビビー、ローガン・アレン、ギャビン・ウィリアムズがローテーションに定着し、来季以降への大きな光明になった。このオフはクローザーのエマニュエル・クラッセにつなぐまでのリリーフ投手と、メジャー最少の124本塁打に終わった打線、特に外野のパワー向上が補強ポイントに挙がる。ジョシュとボーのネイラー兄弟や、夏のトレードで獲得したカイル・マンザードら若手の成長も来季はポイントになるだろう。
また、11年間も指揮を執ったテリー・フランコーナ監督退任で一時代が終わり、来季から就任するスティーブン・ボート新監督の手腕にも注目が集まる。
文●藤原彬
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