レンジャーズが球団史上初の世界一を勝ち取って幕を閉じた、2023年のMLBペナントレース。その結末に至るまでにしのぎを削った全30球団の戦いぶりを通信簿形式で採点した。今回はア・リーグ西地区の5球団をお送りしよう。
※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正
【関連記事】由伸の巨額契約金は大谷の後払いのおかげ?両選手の規格外契約に見え隠れするドジャースの“深謀遠慮”<SLUGGER>
▼アストロズ
90勝72敗 勝率.556(地区1位)
通信簿:まずまずです
前年の王者も序盤は苦戦。強力だった先発ローテーションからジャスティン・バーランダーが退団し、5月にはホゼ・ウルキディとルイス・ガルシアが相次いで離脱して駒不足に陥り、防御率は昨季から1点以上悪化。リーグトップだったのが6位まで下降してしまった。野手もホゼ・アルトゥーベがWBCで負傷し、新加入のホゼ・アブレイユは極度の不振。6月半ばには地区首位から6.5ゲーム差も離されていた。
それでも打点王に輝いたカイル・タッカーやアレックス・ブレグマンら中軸打者のほか、チャス・マコーミック、ヤイナー・ディアズ、マウリシオ・デュボンら脇役の選手たちの頑張りもあって、何とかギリギリ踏みとどまった。リリーフ陣は奪三振率がメジャーで唯一10を超えた(10.03)ように、相変わらずの頼もしさ。8月1日のバーランダー復帰は、戦力面だけでなくチームの士気を高め、最終的にはレンジャーズに勝利数で並び、直接対決の結果で逆転地区優勝を果たした。
プレーオフでは惜しくもレンジャーズに敗れたものの、7年連続で最低でもリーグ優勝決定シリーズまで進むなど、大舞台での勝負強さも相変わらずだった。
文●出野哲也
▼エンジェルス
73勝89敗 勝率.451(地区4位)
通信簿:ガッカリです
一進一退を繰り返しながら、7月下旬まではワイルドカード争いを展開。ここでペリー・ミナシアンGMは乾坤一擲の大勝負とばかりにルーカス・ジオリト、レイナルド・ロペス、ランダル・グリチック、CJ・クロンらを途中補強したが、8月に入っていきなり7連敗を喫して事実上の終戦となった。二刀流で奮闘を続けていた大谷翔平は右ヒジ、右脇腹を痛めて9月上旬でシーズンエンド。昨季と同じ73勝89敗で、連続負け越しは8年に伸びた。
延べ34人がIL入りした故障者の多さもさることながら、苦戦の最大の原因は先発投手陣。さらなる成長が期待されたパトリック・サンドバルやリード・デトマーズは伸び悩み、FA補強したタイラー・アンダーソンは「昨季の好成績はまぐれでは?」との懸念が的中する形となった。ザック・ネト、ベン・ジョイス、ノーラン・シャヌエルら、ドラフトから間もないプロスペクトを超早期昇格させる“学徒出陣”も、長期的視野からは疑問しかない。大谷がドジャースへと移籍したこのオフもあくまで勝負の構えだが、果たして来季は……。
文●SLUGGER編集部
※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正
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▼アストロズ
90勝72敗 勝率.556(地区1位)
通信簿:まずまずです
前年の王者も序盤は苦戦。強力だった先発ローテーションからジャスティン・バーランダーが退団し、5月にはホゼ・ウルキディとルイス・ガルシアが相次いで離脱して駒不足に陥り、防御率は昨季から1点以上悪化。リーグトップだったのが6位まで下降してしまった。野手もホゼ・アルトゥーベがWBCで負傷し、新加入のホゼ・アブレイユは極度の不振。6月半ばには地区首位から6.5ゲーム差も離されていた。
それでも打点王に輝いたカイル・タッカーやアレックス・ブレグマンら中軸打者のほか、チャス・マコーミック、ヤイナー・ディアズ、マウリシオ・デュボンら脇役の選手たちの頑張りもあって、何とかギリギリ踏みとどまった。リリーフ陣は奪三振率がメジャーで唯一10を超えた(10.03)ように、相変わらずの頼もしさ。8月1日のバーランダー復帰は、戦力面だけでなくチームの士気を高め、最終的にはレンジャーズに勝利数で並び、直接対決の結果で逆転地区優勝を果たした。
プレーオフでは惜しくもレンジャーズに敗れたものの、7年連続で最低でもリーグ優勝決定シリーズまで進むなど、大舞台での勝負強さも相変わらずだった。
文●出野哲也
▼エンジェルス
73勝89敗 勝率.451(地区4位)
通信簿:ガッカリです
一進一退を繰り返しながら、7月下旬まではワイルドカード争いを展開。ここでペリー・ミナシアンGMは乾坤一擲の大勝負とばかりにルーカス・ジオリト、レイナルド・ロペス、ランダル・グリチック、CJ・クロンらを途中補強したが、8月に入っていきなり7連敗を喫して事実上の終戦となった。二刀流で奮闘を続けていた大谷翔平は右ヒジ、右脇腹を痛めて9月上旬でシーズンエンド。昨季と同じ73勝89敗で、連続負け越しは8年に伸びた。
延べ34人がIL入りした故障者の多さもさることながら、苦戦の最大の原因は先発投手陣。さらなる成長が期待されたパトリック・サンドバルやリード・デトマーズは伸び悩み、FA補強したタイラー・アンダーソンは「昨季の好成績はまぐれでは?」との懸念が的中する形となった。ザック・ネト、ベン・ジョイス、ノーラン・シャヌエルら、ドラフトから間もないプロスペクトを超早期昇格させる“学徒出陣”も、長期的視野からは疑問しかない。大谷がドジャースへと移籍したこのオフもあくまで勝負の構えだが、果たして来季は……。
文●SLUGGER編集部
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