専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

謙虚な意気込みの中に垣間見える決意と自信――過去2年の経験の上に新たな挑戦に臨む鈴木誠也<SLUGGER>

ナガオ勝司

2024.02.25

メジャー3年目のシーズンを迎える鈴木。さらに進化した姿をファンに見せてくれるだろうか。(C) Getty Images

メジャー3年目のシーズンを迎える鈴木。さらに進化した姿をファンに見せてくれるだろうか。(C) Getty Images

 2月21日、砂漠の町の片隅で、同じユニホームを着た日本人が、対決した。

 カブスの鈴木誠也外野手と、今年からチームメイトになった今永昇太投手の対決=ライブBPは1打席のみで、鈴木の空振り三振に終わった。

「(打席に立つ前に今永が)本当は『外、真っすぐしか投げない』って、言ってたんすよ。そしたら、インコース来たんで」と鈴木。

 日本人同士の対決というのは、日本メディアのみならず、地元シカゴのメディアも注目していた。意識しないというのは無理な話だ。打席に立つ前、鈴木は「本当は初球を打って、早く終わろう」と思ったそうだが、いざ打席に入ると初球からカーブが来て、打席に立つ前の「真っすぐ勝負」も忘れしまっていたという。

「僕は今、とりあえずボール見たいっていうのがあるんで、左投手を相手に成績は出ているんですけど、僕自身はあんまり好きじゃなくて。真っすぐがインコースに来ても全然、大丈夫ですけど、チェンジアップ系とか、外から入ってくるスライダーとかが若干、消えちゃう」

 意外だった。昨季、鈴木は対右投手が打率.278、OPS(出塁率+長打率).838だったのに対し、対左投手は打率.306/OPS.852と数字では上だった。ただし、長打率は対右が.491、対左は.472とわずかに低く、打席数や打数に違いがあれども、「手応え」という部分で不満があるのだろう。

 たった1球で終わらせるはずの今永との対戦でも、追い込まれてから、こんな風に考えていたという。

【PHOTO】MLBでも打ちまくる!シカゴ・カブスで奮闘する鈴木誠也を特集!
「あれ最後、フォークを待ってたんです。今永さんが投球練習で投げてて、いいボールだったんで、これ投げてくんないかな? と思って待ってたんですけど、インコースに結構キツめのところに来たんで、危なっと思って、ちょい逃げながらファウルでいいやと思って振ったら当たらなかった」

 その辺り、やはり勝負師である。

「まだ左ピッチャーで入ってくる感覚が良くないので、今はちょっと見て、試合が始まる前ぐらいになってからとりあえず振っていこうかなと思っている。まだ自分の振り出しの感覚とボールの間の感覚が良くないんで。でも、いい勉強にはなりましたね」

 3月28日の開幕戦まで約6週間。体調は万全。むしろ、「(身体の状態は)良すぎて怖いぐらいなんで、少し抑え気味に、行き過ぎないように過ごしている」と言うぐらいだ。それもそのはず、彼には昨年のキャンプで左脇腹を傷め、WBC日本代表を辞退した苦い思い出がある。負傷者リスト入りして開幕を迎えた昨季を顧みて、彼はオフの間もずっと、トレーニングしてきたのだ。

「(MLBデビューした2022年に)体重が結構落ちたので、それを戻すのに一生懸命で、(昨年のオフは)偏ったトレーニングをやってしまって、怪我につながったんですけど、今年に関しては動きの中でのトレーニングだったりっていうのを数多く入れてきた。体重は去年の入りと変わってないんですけど、動き的にはもう全然、今年の方が良いかなと思います」

 今年からカブスのチームメイトとなった今永昇太投手とは「ロッカーの中だけ」で話す程度だそうで、練習中も外野手と投手が絡む場面は少ない。それでも、同じ日本人の存在は「心強い」ようで、ベテラン正捕手のヤン・ゴームズや他の選手たちとの「橋渡し」にもなっているようだ。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号