MLB

少年時代の夢を叶えたコールとクロフォード、UCLAの先輩・後輩でもある義兄弟の秘話

宇根夏樹

2019.12.26

入団会見で少年時代に掲げたボードを持参したコール(左)だが、彼の義兄クロフォード(右)にも似たような話がある。(C)Getty Images

 ゲリット・コール(ヤンキース)が入団会見で手にしたボードには「ヤンキーファン、今日も明日も、永遠に」と記してあった。9年3億2400万ドルの契約が終わる時、コールは38歳になっている。しかも、この契約は1年延び、10年3億6000万ドルに達する可能性もある。永遠とまではいかないにしても、ここから引退するまで、ヤンキースで投げ続けてもおかしくない。

 ただ、コールがこのフレーズを掲げるのは、今回が初めてではない。オリジナルは18年前の2001年だ。ヤンキースとダイヤモンドバックスが対戦したワールドシリーズの第6戦。舞台となったバンクワン・ボールパーク(現チェイス・フィールド)のスタンド最前列には、ヤンキースのキャップをかぶり、ピンストライプのジャージを着て、今オフと同じフレーズのボードを持つ少年がいた。当時11歳のコールだ。この写真は、ニュージャージー州ニューアークの新聞、スター・レジャー紙に掲載された。
 
 08年のドラフトで、コールはヤンキースから全体28位指名を受けた。だが、その時は高校からUCLAへ進み、11年にドラフト全体1位でパイレーツに入団。18年1月にアストロズへ移り、今オフにFAとなってヤンキースと契約した。

 ジャイアンツで遊撃を守っているブランドン・クロフォードにも、コールと似たような写真がある。こちらは、1992年のシーズン終盤。撮影された場所は、99年までジャイアンツが本拠地としていたキャンドルスティック・パークだ。「ミスター・ホワイト:正しいことをして! ジャイアンツをSFに残して」と書かれたボードの横には、ジャイアンツのキャップを後ろ前にかぶり、89年のナ・リーグ優勝Tシャツを着た、当時5歳のクロフォードが写っている。これは(クロフォード自身が書いたものではないようだが)ナ・リーグ会長のビル・ホワイトに向けたメッセージだ。この頃、ジャイアンツにはフロリダ移転の話が出ていた。