“令和の怪物”が選んだのは、やはりドジャーブルーのユニフォームだった。1月17日(現地)、ポスティングによるメジャー移籍を目指していた佐々木朗希がインスタグラムでドジャースと契約したことを表明。「とても難しい決断でしたが、野球人生を終えて後で振り返ったときに、正しい決断だったと思えるよう頑張ります」と綴った。
【画像】ドジャース加入が決定!“令和の怪物”佐々木朗希を特集
佐々木をめぐっては、1月15日の契約解禁日を前にドジャース、ブルージェイズ、パドレスが最終候補3球団に残ったことが判明。だが最終的には、1年以上も前から噂されていたドジャースを選択するという「予想通り」の結末となった。
球界随一の資金力を誇り、ここ12年連続でプレーオフに進出して昨年は4年ぶりのワールドチャンピオン。今、まさに黄金期を築いているドジャースは、投手育成力にも定評がある。
今世紀に入ってからも、殿堂入り確実のクレイトン・カーショウを筆頭に、21年に20勝を挙げたフリオ・ウリアス、同じく21年に16勝、防御率2・47を記録したウォーカー・ビューラーらサイ・ヤング賞獲得もしくは候補となるような好投手を輩出。近年もダスティン・メイ、トニー・ゴンソリン、ボビー・ミラー、ギャビン・ストーンといった投手が台頭している。毎年のように新戦力が湧き出てくるファーム組織は他に類を見ないレベルだ。
育成の特徴としては、同じく好投手を多く育て上げているガーディアンズと異なり、制球難でも高出力/剛速球を投げる投手を好む傾向がある。ドラフトでも、少なくとも先発4、5番手は務められそうという投手より、リスクはあるが潜在能力はエース級というタイプを獲得して制球力をつけさせるのが上手い。
ミラーは、20年ドラフト全体29位で指名された時点では、堂々たる体躯から重い剛速球を投げる一方で投球フォームに力みがあり、制球力は平均以下との評価。リリーフが適任との意見もあった。ところが、メジャーデビューを果たした23年に11勝の活躍。与四球率2・33と、制球面でも着実に進歩していることを証明した。 また、30球団随一と言われるデータ分析部門も大きな味方になるだろう。投球解析などを駆使しながら他球団で埋もれた人材を戦力化する“魔改造”のメソッドは、佐々木のような若手投手の育成にも役立つはずだ。
一方、ESPNのジェフ・パッサンが「投手の育成は上手いが、健康管理については上手くいっていない」と指摘したように、最近は投手の故障が続出している点は気になる。
22年に16勝を挙げてオールスターに選ばれたゴンソリンはトミー・ジョン手術を受けて昨季全休。100マイルを超える豪腕のメイも21年、23年と立て続けに右肘にメスを入れた。23年にデビューしたエメット・シーアンも昨年5月に右肘靭帯再建手術、昨季にチーム最多11勝を挙げたギャビン・ストーンも右肩の手術で今季を全休する見込みだ。
本格派投手の宿命といえばそれまでかもしれないが、球速、高回転数などドジャースが投手に求める資質は故障と隣り合わせでまり、長期間にわたって安定した活躍を続けた投手はカーショウ以外にいないのも事実。佐々木もまさに高出力タイプだけに、この点は不安要素だ。
果たしてドジャースは、大きな故障なく佐々木の潜在能力を全面的に開花させられるのか。今後、日米のファンは固唾を呑んで見守ることになりそうだ。
※SLUGGER3月号掲載の記事を再構成
文●城ノ井道人
【著者プロフィール】
しろのいみちと:MLBライター。会社勤めの後に渡米し、MLB記者として全米を飛び回る。現在は東京在住。日米問わずプロスペクトをこよなく愛し、マイナーリーグの球場巡り&チームカード集めが趣味。贔屓球団は持たない主義。
【画像】似合っている? 米メディアが公開した佐々木朗希の“ドジャースユニ姿”をチェック! 大谷&由伸との3ショットも
【記事】「もし事実なら、ササキは即座に球界最大の悪役になる」去就大詰めの佐々木朗希、米記者が懸念「反ドジャースの感情が爆発するだろう」
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佐々木をめぐっては、1月15日の契約解禁日を前にドジャース、ブルージェイズ、パドレスが最終候補3球団に残ったことが判明。だが最終的には、1年以上も前から噂されていたドジャースを選択するという「予想通り」の結末となった。
球界随一の資金力を誇り、ここ12年連続でプレーオフに進出して昨年は4年ぶりのワールドチャンピオン。今、まさに黄金期を築いているドジャースは、投手育成力にも定評がある。
今世紀に入ってからも、殿堂入り確実のクレイトン・カーショウを筆頭に、21年に20勝を挙げたフリオ・ウリアス、同じく21年に16勝、防御率2・47を記録したウォーカー・ビューラーらサイ・ヤング賞獲得もしくは候補となるような好投手を輩出。近年もダスティン・メイ、トニー・ゴンソリン、ボビー・ミラー、ギャビン・ストーンといった投手が台頭している。毎年のように新戦力が湧き出てくるファーム組織は他に類を見ないレベルだ。
育成の特徴としては、同じく好投手を多く育て上げているガーディアンズと異なり、制球難でも高出力/剛速球を投げる投手を好む傾向がある。ドラフトでも、少なくとも先発4、5番手は務められそうという投手より、リスクはあるが潜在能力はエース級というタイプを獲得して制球力をつけさせるのが上手い。
ミラーは、20年ドラフト全体29位で指名された時点では、堂々たる体躯から重い剛速球を投げる一方で投球フォームに力みがあり、制球力は平均以下との評価。リリーフが適任との意見もあった。ところが、メジャーデビューを果たした23年に11勝の活躍。与四球率2・33と、制球面でも着実に進歩していることを証明した。 また、30球団随一と言われるデータ分析部門も大きな味方になるだろう。投球解析などを駆使しながら他球団で埋もれた人材を戦力化する“魔改造”のメソッドは、佐々木のような若手投手の育成にも役立つはずだ。
一方、ESPNのジェフ・パッサンが「投手の育成は上手いが、健康管理については上手くいっていない」と指摘したように、最近は投手の故障が続出している点は気になる。
22年に16勝を挙げてオールスターに選ばれたゴンソリンはトミー・ジョン手術を受けて昨季全休。100マイルを超える豪腕のメイも21年、23年と立て続けに右肘にメスを入れた。23年にデビューしたエメット・シーアンも昨年5月に右肘靭帯再建手術、昨季にチーム最多11勝を挙げたギャビン・ストーンも右肩の手術で今季を全休する見込みだ。
本格派投手の宿命といえばそれまでかもしれないが、球速、高回転数などドジャースが投手に求める資質は故障と隣り合わせでまり、長期間にわたって安定した活躍を続けた投手はカーショウ以外にいないのも事実。佐々木もまさに高出力タイプだけに、この点は不安要素だ。
果たしてドジャースは、大きな故障なく佐々木の潜在能力を全面的に開花させられるのか。今後、日米のファンは固唾を呑んで見守ることになりそうだ。
※SLUGGER3月号掲載の記事を再構成
文●城ノ井道人
【著者プロフィール】
しろのいみちと:MLBライター。会社勤めの後に渡米し、MLB記者として全米を飛び回る。現在は東京在住。日米問わずプロスペクトをこよなく愛し、マイナーリーグの球場巡り&チームカード集めが趣味。贔屓球団は持たない主義。
【画像】似合っている? 米メディアが公開した佐々木朗希の“ドジャースユニ姿”をチェック! 大谷&由伸との3ショットも
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