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15年目のキャリアハイ達成のロッテ国吉佑樹「ここからは1年1年が生き残るための勝負」新シーズンへの誓いと古巣DeNAへの想い

萩原孝弘

2025.01.23

プロ15年目の昨季はキャリアハイとも言える好成績を残した国吉。写真:萩原孝弘

☆15年目のキャリアハイ

「キャリアハイといってもいい成績でしたし、何より初めてシーズン通して一軍にいることができました。充実してましたね」

 チームスローガンの「自分たちを超えてゆく」を地で行く活躍を見せた国吉佑樹は、過去2年間の低空飛行から一気に上昇気流に乗った。そんな昨シーズンを回想し、少しだけ表情を緩めた。

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 2021年の交流戦後、衝撃の電撃トレードでDeNAからロッテへ移籍し、その年は後半戦だけで25試合登板で2勝2セーブ、17ホールド、防御率1.44とベイスターズでの前半戦の防御率5.16から劇的良化。勝利の方程式の一角として優勝争い、そしてクライマックスシリーズでも登板を果たし、存在感を示した。

 しかし翌年は6試合、昨年は3試合登板に終わった。そこには30歳を過ぎたベテランを襲った正体不明の"違和感"があった。投手のメカニズムは実に繊細であり、少しのズレが致命傷になることもある。それはプロ生活13年目のベテランにも及んだ。

「何かがおかしい。ボールが指にかかる感じがない」

 それを感じたのは2022年の夏頃だった。それ以降、経験を元に是正に勤しんだが、完璧には程遠い状況。「このままではマズイ」と22年オフから抜本的な見直しを敢行した。「ボールを投げる前の動作からですね。本当に立ち方から始めて歩き方へと着手しました」と"急がば回れ"のマインドで挑んだ。歩くことから体重移動を意識し、少しずつ少しずつ投球フォームへと移行。1年単位の試行錯誤を続け、23年の夏場には感覚が戻ってきた。苦しんだ結果、9月の勝負どころで一軍に昇格。しかし「いい感じで投げられてきた矢先に、今度はインフルエンザに罹ってしまって...」と運にも見放され、復活のアピールの場は儚く消えた。

 過去2年間での一軍登板はわずか9。新陳代謝の激しいプロ野球の世界を熟知している右腕は、自分の置かれている立ち位置も当然把握している。それだけに23年のオフは「今年は本当に勝負の年ですからね」と決意し、毎年恒例となっていた古巣ベイスターズのピッチャー陣との厚木の自主トレも不参加を決め、年明けすぐに山口県宇部市で自主トレを敢行した。

 引き続き動作解析をメインにメンタルコーチの指導も享受。「あさ9時から軽いランチを挟んで、午後4時まで徹底的に追い込みました。その後もジムでトレーニングとハードなスケジュールでしたね」と体と心を整えることに着手。「厳しい自主トレでしっかり身体を動かせたので、目的通りにできました」と手応えを口にした。
 
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「記録更新するまでの数試合は嫌でも意識させられて、本来の投球の目的を見失いそうになりました」