ロサンゼルス・エンジェルスのオーナー、アート・モレノが、アリゾナ州テンピで行なわれている春季キャンプで報道陣の取材に対応し、総年俸を上げた今年は5000万～6000万ドル（約76～91億円）の赤字になる見込みだと明かした。

　エンジェルスの地元紙『Orange County Register』のジェフ・フレッチャー記者によると、モレノは「今年は損失を被ることになるだろう。おそらく最低でも5000万ドルから6000万ドルの赤字だ」と語った。

　その理由を「総年俸が上昇し、テレビ放映権、スポンサー料、チケット販売など、さまざまな収入が不足するため」と説明。さらにMLBの収益分配システムに年間2500万ドル（約38億円）を支払うという。こうした財政事情もあり、モレノは争奪戦になるトップクラスのFA選手には手が出せなかったようだ。

　また高額ではないにせよ、ひとりのFA選手を取り逃したことも明かしている。今オフにエンジェルスは、ネイサン・イオバルディと金銭面で合意できなかった。イオバルディはレンジャーズと３年7500万ドル（約114億円）で再契約している。

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  　エンジェルスは９年連続で負け越し、10年連続でポストシーズンに進出できていない。この状況についてモレノは、「結局のところ、それはおそらく私（の責任）なのだろう」と釈明した。

「私はマイク・トラウトにお金を使うことはできるが、彼のために打つことはできない。投手に投資することもできるが、彼らの健康状態がどうなるのか、試合でどんな結果をだしてくれるのかは分からない。誰かがこのチームに１億ドル（約152億円）を費やしたとしても、急に違いは出るのだろうか。まず選手たちは健康でシーズンをプレーしなければいけない」

　このコメントに注目した米誌『Sports Illustrated』でエンジェルスを担当するヴァレンティーナ・マルティネス記者は、「モレノは近年の低迷が自分のせいだと認めながらも、それ以上の責任は回避した。ただ、この10年、エンジェルスのファンはフラストレーションをためている。怒りの矛先をモレノに向けているのは間違いない」と現状を説明した。

　実際、米メディア『The Athletic』のサム・ブラム記者が開幕前に行なっている恒例のファンアンケートで、95.6%のファンが「モレノは球団を売却するべき」と回答している。

『Orange County Register』のフレッチャー記者も、ファンからの評判の悪さを指摘するが、しかしモレノはあらためて「球団を売却する意思はない」と明言した。2003年からエンジェルスのオーナーを務めるモレノは、22年に球団売却を表明。ファンから大歓声が上がったが、23年に売却中止を発表して以降、球団売却の可能性を一貫して否定している。

構成●THE DIGEST編集部

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