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MLB

すべては2026年次第――複雑怪奇なQOのシステムから考える「今永昇太が1年契約でカブスに残留した理由」<SLUGGER>

ナガオ勝司

2025.11.23

 QOの金額は、そのシーズンの年俸上位125選手の平均年俸と同額で自動的に決定される。今オフの場合2202万5000ドル(約34億円)に設定されている。平均年俸は毎年変わるので、来オフはまた違う金額になると予想される。去年は2100万500ドル(約32億円)だったので、今年は4.6%も上昇したことになる。

 ファンにとっては、カブスが今永と契約した当時の我々日本メディアの報道で4年総額5300万ドル(約77億円)と伝えられていたはずなので、「なぜ、2年目のオフにFAになるの?」と疑問に思われたことだろう。

 自戒を込めて言い訳すると、それはQO制度の説明同様、「◯年◯億円」とシンプルに説明できるようなものではなく、詳細に説明する紙幅が、特に新聞紙上にはないからだ。

 今永の契約内容は当初から、2年目終了後に球団側が3年5700万ドル(約88億円)、今永にも単年1525万ドル(約23億円)と両方に契約延長オプションがついていた。今永がFAになったのは、球団も自身もこれを破棄したためである。

 今回、今永が受諾したQO=単年2202万5000ドルの契約は、球団の契約延長オプションより年数も総額も少ないが、今永が保有していた単年1525万ドルより700万ドル(約10億8000万円)近く工学で、日本風に言えば「大幅昇給」にはなったわけだ。
 
 カブスはシーズン後半に調子を落とした今永と長期契約を結ぶリスクを避け、QOを拒否されても、他球団から補償としてドラフト指名権を譲渡されるメリットを生かしながら、よりリスクの少ない単年契約で呼び戻すことができた。現時点では双方にとって最適解だったのだろう。

 冒頭のコメントにもあるように、今永は今季終了時点ですでに、カブスへの愛着がありながらもポスティング制度を経てMLBに移籍した経験もあって、球団=買い手、選手=売り手という意識をしっかりと持っていた。

「このシステム上、僕を一番最初に評価するのはカブスなので、そこで評価されれば選手冥利と言えるはずなんです。でも、違うチームから評価されて、そこでプレーすることになるなら、そこで頑張るしかない。あとはこの競争社会において、自分が今どの立ち位置にいるのかを知るいい機会にはなると思う。自分の人生を考える、そういう分岐点は多くないと思う」

 今永が来オフまでにカブスと新たに契約を延長する可能性は残されている。MLBは日本みたいにFA=決裂というわけではないので、たとえFAになったとしてもカブスとの再契約は可能なのだが、基本的に彼は来オフ、再びビジネス上の決断を下すことになる。

 ただし、それはそんなに悪いことではない。

 前述したように、QOには「選手はどの球団に所属したかに関係なく、キャリアを通してQOを一度しか受け取ることができない」ルールがある。否定文だからネガティブな響きに聞こえるだろうが、それは今永がこのまま来オフにFAになれば、獲得球団はドラフト指名権をカブスに譲渡する必要がないということだ。つまり、各球団にとって、今年以上に獲得しやすくなるというわけだ。

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