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MLB

すべては2026年次第――複雑怪奇なQOのシステムから考える「今永昇太が1年契約でカブスに残留した理由」<SLUGGER>

ナガオ勝司

2025.11.23

 単純に数字上の損得で考えれば、3年5700万ドルの契約延長オプションからQOの単年2202万5000ドルが引くと、残りは2年3497万5000ドル(約54億円)。それ以上の契約を勝ち取れると考えれば、今オフの展開もプラスに思えてくるから不思議なものである。

 MLBに義理や人情がないわけではないが、選手の年俸総額が高騰し続けている中、ビジネス上の決断に感情が入り込むことはない。カブスが「3年5700万ドルを保証するのは難しい」と判断したのはあくまでも、(とても乱暴に書いてしまうと)前半戦は12試合68.0回を投げて防御率2.65、11被本塁打という数字が、後半戦は13試合76.2回を投げて防御率4.70、20被本塁打と極端に落ち込んでしまったからである。

 それでも彼らが「単年2202万5000ドルの価値はある」と判断したのは、たとえばWHIPは前半戦0.93から後半戦1.04と比較的、安定していた上に、奪三振率は6.35→8.10、K/BB(奪三振と与四球の比)は3.00→6.90へと大幅に改善したからだ。

 QOを提示したことでも分かるように、ジェッド・ホイヤー編成本部長をはじめとするカブス経営陣は今永を「主戦投手の一人」として評価しているし、クレイグ・カウンセル監督やトミー・ホットビー投手コーチといった現場の人々も、今永と仕事をすることを楽しんでいる。今回のQO受諾が双方にとって最高の結果につながればいいなと思う。
 今永と最後に直接、話をしたのは、ホイヤー編成本部長が同じビルの中で今季総括を行う前日のことだった。その時、今永はこう言っている。

「(プロ野球生活は)今年10年目が終わったことになる。いつキャリアを終えるのか分からないですけど、もう32歳なんで、折り返し地点は過ぎてる確率の方が高いと思う。だから、いつ野球を辞めてもいいような選手生活を送りたい、とは思いますけどね」

 彼は今オフ、メジャーリーグにおける立ち位置を知り、野球人生の分岐点で一つの決断を下した。来オフはそれがさらに鮮明になり、さらに今後のことを考えていくことになるだろう。

 すべては来季次第。結果がすべてのプロの世界で、今永昇太は投げ抜く覚悟を決めている。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO

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