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プロ野球

目指すは「10割・200本塁打・1000打点」。鈴木誠也をさらなる高みへと突き動かす“飢餓感”

前原淳

2020.02.29

 ブレイクした16年オフ、打撃フォームを継続するのではなく、一度解体することを選んだ。「身体は一年一年で変わるので打撃も変わらないといけない。シーズン中になれば一日一日コンディションも違う」と鈴木誠。しっかりとした打撃の幹を作り上げ、そこから引き出しを増やしていく作業を繰り返している。

 根っからの打撃人で、四六時中、野球のことばかり考えている。移動中の多くは打撃動画を見ることに費やし、広島の中軸となっても他の選手やコーチに意見を求める。シーズン中の試合前練習でも、坂本勇人(巨人)やマイク・トラウト(エンジェルス)、ミゲル・カブレラ(タイガース)などの打者の打撃フォームで打撃練習することがある。そこからスウィング軌道やバットを振り始める感覚、タイミングの取りやすさなどヒントを探る。

 昨年は公式戦で実践した。9月14日・巨人戦(東京ドーム)の4回。対戦成績8打数1安打の2番手・高木京介に対し「タイミングを取るのが難しかった」と“打てる形”を探った。坂本のように左足を大きく上げて構えたかと思えば、いつものようなフォームなどタイミングを計った。結果、「タイミングが合うか、合わないか。それすらなかった。“タイミングがない”なら、ステップするの止めようと思った」とノーステップ打法で27号本塁打を放ってみせた。
 
 広島では4番打者であり、チームの顔となった。侍ジャパンでも4番として東京五輪での金メダル獲得を期待される立場となった。ただ、鈴木誠が目指す山の頂点はまだ見えていないかもしれない。

 16年オフの契約更改を終えた代表会見で目標を聞かれた時の言葉が忘れられない。

「10割・200本塁打・1000打点」

 会見場からは笑い声も聞かれたが、鈴木誠の頭の中を少しだけのぞけたような気がした。

 その後、数字の真意を聞くと「僕は高い目標でも嫌にならずに結構、頑張れるタイプです。打率10割とは言いましたけど、究極です。届かないですけど、一日一日大事にして向かっていけるように練習している。やみくもにやっているわけじゃない。遠回りしてでも自分を試してやっています」と真っすぐに答えた。

 当時まだ22歳だった。あれから野球人生を脅かす大怪我を経験し、長いリハビリを乗り越えた。優勝する喜びも、負ける悔しさもも味わい、人間としても成長した。でも、まだ満たされない。そんな飢餓感こそ、鈴木誠が高み高みへと登る原動力となっている。

文●前原淳

【著者プロフィール】
1980年7月20日・福岡県生まれ。現在は外部ライターとして日刊スポーツ・広島担当。0大学卒業後、編集プロダクションで4年間の下積みを経て、2007年に広島の出版社に入社。14年12月にフリー転身。華やかなプロ野球界の中にある、ひとりの人間としての心の動きを捉えるために日々奮闘中。取材すればするほど、深みを感じるアスリートの心技体――。その先にある答えを追い続ける。『Number』などにも寄稿。
 

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