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NY在住20年以上のスポーツライター杉浦大介が見た「ロックダウン下の現実」とアメリカスポーツ界の未来

杉浦大介

2020.04.05

 この街にもう20年以上住み、スポーツライターとして活動してきた私のメインの関心はやはり米スポーツ界の将来だ。少なくともニューヨークに関しては、近い将来に大規模なスポーツイベントが開催できる雰囲気ではない。他の街について語るのは難しいが、同じくロックダウンが告げられているロサンジェルスもおそらくは同じだろう。

 MLB、NBAといったメジャースポーツの再開までにも、長い道のりが待ち受けている。仮にシーズンが始まっても、一人でも感染者を出れば再びの中断は避けられないが、そんな事態を回避するための徹底した管理が継続できるのかは疑わしい。

 単発イベントの格闘技ならともかく、試合挙行に必要な人数が多いチームスポーツは極めてハードルが高い。もちろんそうならないことを願っているが、この期に及んでは、2020年を通じてMLB、NBAのゲームが行われなかったとしてももう特に驚かない。
 
 私も、周囲の記者仲間たちも、今のところはこれまでに築き上げた経験とコネクションを駆使し、電話やE-メールでの取材などで可能な限りの記事を書いている。ただ、現場取材の機会がなければこれまでの蓄積を食い潰すのみ。ロックダウンが長期化した場合、状況は難しくなる一方だろう。

 厳しい時間を迎えているのは、もちろんスポーツ界だけではない。現在のロックダウンとその後の経済危機が続けば人々のストレスも大きくなる。"ニューヨークの街中はまだ戦地のような雰囲気ではない"と記したばかりだが、これから先、国内の空気が徐々に変わっても不思議はない。

 4月2日、日本に帰国したことを発表したヤンキースの田中将大のこんなコメントは、アメリカに住む人々、特にアジア人に危機感を感じさせるに十分だったのではないか。

「現在新型コロナウイルスの感染が拡大しているアメリカから日本に入国する事で、私たちは現在何も症状はありませんが、それでも知らず知らずに誰かに感染させてしまうことはないか? 逆に家族が感染してしまうのではないか? 様々な想いがありました。ですが、キャンプ中断後もキャンプ地フロリダで生活していく中で、新型コロナウイルス感染以外でも身の危険を感じさせられる出来事があり、十分に注意をしながら一時帰国する決断をいたしました。現在は日本政府の要請通り、2週間の自宅待機中です」
 

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