合流初日からこんな場面があった。

　練習が終わった田中はブルペンに姿を現すと、ネットを挟んで捕手の後ろに腰掛け、ドラフト１位ルーキー・早川隆久ら、若い投手たちが懸命に投げている姿を、ネット越しにじっと見つめていた。

「もちろん、彼（早川）のことも少し見ましたが（投げていた）投手を全体的に見ていました。どういうボールを投げるんだろうという興味と、あとは雰囲気。ブルペンの活気ある雰囲気をみて、自分も刺激を受けました。実績ある先輩たちだけでなく、若い選手たちがどうやっているのか。どういうボールを投げるのか。年下だろうがそこは関係ない。すごく興味があります」

　貪欲な探究心は、今の田中を作り上げた一端を見た気がした。
  　石井監督は「パフォーマンスもそうなんですが、そのパフォーマンスを出していくような練習や、トレーニングの仕方だったり。そういうところをコミュニケーションをとるだけでなく、実際のプレーを見ているだけでも参考になる。そういうところを求めていきたいと思いますし、その効果はチームとして得られると思っています」と語っている。

　田中が合流する前の第１クールから、ブルペンはすでに活気に満ちていた。そこに明日から田中が加わってくる。実績ある投手陣と若い力が織りなす化学反応が、早くも始まっているのかもしれない。

取材・文●岩国誠

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