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プロ野球

前半戦のMVP&新人王を独自選出! セ・パ両リーグともに今季躍進の阪神&オリックス勢が居並ぶ結果に<SLUGGER>

出野哲也

2021.07.22

【パ・リーグMVP】
1:吉田正尚(オリックス)
2:杉本裕太郎(オリックス)
3:山本由伸(オリックス)

 候補者3人がすべてオリックスの選手となったあたりに、チームの勢いが現れている。「三振しないスラッガー」としてすっかり有名になった吉田は、3割打者が5人しかいない状況にあって.343の高打率。それだけでも凄いが、17本塁打は5位、55打点も3位、そしてOPS.989は2位に.047の大差をつけて独走している。トレードマークとも言うべき三振数も19個。規定打席以上で2番目に少ない同僚の宗佑磨より11個も少ない異次元レベルで、満票でMVPに選ばれてもおかしくない。

 チームではその吉田に次ぐOPS.917をマークしているのが、急成長を遂げた杉本。昨年まではパワーばかりが目立っていて安定感に欠ける打者だったが、「続けて使ってもらっているので気負わなくなった」結果、打率.297と確実性が急上昇。自慢の長打力もリーグ3位の18本塁打/長打率.561と存分に発揮している。

 山本は防御率1.82、9勝、121奪三振の三冠。特に三振数は2位の宮城大弥に27個差をつける圧倒的な数で、6月11日の広島戦では8イニングで15三振を奪った。5敗とやや負けが多い点だけがマイナス材料。宮城も山本と並び最多の9勝でこちらは1敗のみ、防御率も僅差の2位につけている。
 
【パ・リーグ新人王】
1:宮城大弥(オリックス)
2:伊藤大海(日本ハム)
3:早川隆久(楽天)

 セ・リーグと同じく、普通の年なら新人王確定レベルの3人で争われる超豊作年になっている。そのなかで一歩リードしているのが、高卒2年目で9勝を挙げハーラーダービートップに立っている宮城。14先発中11試合は2失点以下で、防御率2.10は2位。1イニングあたりに四球と安打で何人の走者を出したかを示すWHIPでは、エースの山本をも上回ってリーグ1位(0.88)だ。オリンピック代表から漏れた際には不満の声があちこちで聞かれたほどで、その実力は野球ファンの間で知れ渡っている。

 宮城を差し置いてオリンピック出場を勝ち取った伊藤は、防御率2.42で3位。87奪三振は宮城より少ないものの、奪三振率9.59は堂々のトップだ。開幕直後には23イニング連続奪三振の新人記録も達成しており、最下位に沈む日本ハムで数少ない光明になっている。

 早川も6月半ばまではこの2人に遜色ない活躍を見せていた。同月6日の広島戦で7勝目を挙げた時点ではリーグ最多勝。しかしながら20日の登板を最後に一軍登録を抹消され、3週間以上登板機会が空いている。もっとも重大な故障ではなく、疲労が溜まったための抹消であって、オリンピックでの中断期間が明けた後には、以前のような活躍ができる可能性は十分ある。三つ巴の新人王レースは終盤まで楽しめそうだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
 
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