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MLB

ワールドシリーズの視聴率は史上ワースト2位。それでも“ベースボール危機論”が的外れな理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.11.06

『FOX Sports』によると、今年のワールドシリーズ最終戦(第6戦)は全米で約1175万人が視聴した。これは昨年の同じ試合に比べて約20%増加。全6試合の合計でも、同局がこれまで中継したワールドシリーズで最も多くの視聴者を獲得したという。また、ワールドシリーズ中継は16年以降、スポーツ以外も含めた同局のゴールデンタイム全番組の中で毎年、視聴者数1位の座を堅持する優良コンテンツでもある。

 当然、『FOX Sports』はこの結果に満足している。その証拠に、来年から28年にかけての7年間で総額51億ドル(約5800億円)もの巨額放映権料契約をMLBと交わしている。これらの収入を背景とする総収益はNFLに次ぐ規模であり、NBAをも凌駕している。NBAを「死にかけのプロスポーツ」と考える者がいるだろうか。
 
 日本でも、一部でプロ野球の人気低下を主張する向きがある。その根拠は、地上波でプロ野球中継が激減したことや(MLBと同じく)日本シリーズの視聴率低下で、これもアメリカとよく似ている。確かに、かつては巨人戦がシーズン全試合放映されていたことを思えば、現状に一抹の寂しさを覚える人がいるのも理解できるが、その一方でパ・リーグも含めて巨人以外の球団に人気が分散していることを見逃してはならない。

 コロナ禍に見舞われるまで、プロ野球全体の観客動員数は右肩上がりで、19年には史上最高の約2650万人を集めた。特に増加が著しいのがパ・リーグで、85年から700万人も増やしている。85年当時は実数発表ではなかったことを考えれば、実際はそれ以上に増えているはずだ。また、確かに地上波の視聴率は伸び悩んでいるが、『DAZN』や『パ・リーグTV』では多くの視聴者を獲得しているという。

 要するに今の時代、テレビ視聴率だけで人気度を測るのは適切ではないということだ。確かに、MLBが人気面でNFLの後塵を拝しているのは紛れもない事実。だがそれはNFLが化け物コンテンツであるというだけで、「ベースボールが死にかけている」とまで主張するのは短絡的すぎる。きちんと詳細に分析すれば、MLBを楽しむファンがまだまだいることは明らかなのだ。

構成●SLUGGER編集部
 

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