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あのボンズも巧みに操縦!サイン盗みの汚名にまみれたアストロズをワールドシリーズへ導いたベイカー監督の“人間力”<SLUGGER>

出野哲也

2021.10.27

自身2度目のリーグ制覇を果たし、歓喜するベイカー。72歳133日は、ワールドシリーズに出場した監督で史上2番目に高い年齢だ。(C)Getty Images

自身2度目のリーグ制覇を果たし、歓喜するベイカー。72歳133日は、ワールドシリーズに出場した監督で史上2番目に高い年齢だ。(C)Getty Images

 ハンク・アーロンがベーブ・ルースを抜く通算715号本塁打を放つ姿を、ネクスト・バッターズ・サークルから見届けた打者は、史上最高のギタリストであるジミ・ヘンドリックスとサンフランシスコの路上でマリファナを吸った若者でもあった。

 「歴史の証人」とも言うべき人生経験を積んできたこの人物こそ、アストロズのダスティ・ベイカー監督である。サイン盗み問題で球界の悪役となったアストロズをここ5年で3度目のアメリカン・リーグ制覇に導いたことで、72歳の老将の「人間力」が改めて脚光を浴びている。

 1968年、19歳でブレーブスに昇格(ジミと会ったのはその直後のことらしい)したベイカーは、76年に移籍したドジャース時代には2度オールスターに出場。19年のメジャー生活で通算1981安打、242本塁打、1013打点の記録を残した好選手だった。
 
 引退後は打撃コーチを経て、93年にジャイアンツで監督生活のスタートを切る。この年のジャイアンツは、FAで加入したバリー・ボンズが3度目のMVPに輝く活躍で103勝を挙げたが、ブレーブスに1勝及ばず地区優勝を逃した(当時はまだワイルドカードはなかった)。それでも就任1年目でこれだけの戦績を収めた点を評価され、最優秀監督賞に選ばれている。

 ワイルドカードでプレーオフに進んだ2002年は自身初のリーグ優勝。エンジェルスとのワールドシリーズも3勝2敗と王手をかけ、第6戦ではあと5つアウトを取れば世界一のところまで迫ったが逆転負けし、第7戦にも敗れた。このシリーズでは、ベイカーの息子ダレン(3歳)がバットボーイを務め、ホームに生還しようとした走者と衝突しそうになったシーンも有名である(そのダレンは今年、ドラフト10巡目指名でナショナルズに入団した)。

 その頃のベイカーはすこぶる評判の監督だった。特別采配が冴えているわけではなくとも、選手が快適にプレーできる雰囲気を作り、その能力を上手に引き出した。「4時に来いと言ったら10分遅れて来る。もう来なくていいと言えば10分前に来る」ような、へそ曲がりのボンズも巧みに操縦した。『ESPN』の解説者ダグ・グランビルは「メジャーで一番人気のある監督だった。誰もが彼のチームでプレーしたがっていた」と述べている。
 

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