専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
高校野球

「緊迫した場面での1本の長打」がテーマ。勝ち越し3ランを呼び込んだ浦和学院のフルスイング

氏原英明

2022.03.29

 緊迫した場面での一発は、森監督がチームに求めてきたものである。

「流れが悪かったので、ベンチの中でこういうときこそ1本の長打だよと話をさせてもらいながら、見てたんです。6回の伊丹は本当によく振り抜いたなと。当てにいかず振り抜いた結果が、あのホームランに繋がったかなと思います」

 もっとも、森監督は振り切るという「メンタル面だけ」を重視してきたわけではない。そのためのアプローチをしっかりと施している。

 練習で使用するのは木製バットだ。芯に当たらないと打球が飛ばないバットを使用し、アジャストする能力もしっかりと身につけた。無闇にフルスイングをして空振りを量産するのではなく、振り切れるだけのアプローチを重視しての結果だった。

 もっとも、見ている側としては、マン振りしているようにも映る。しかし、その背景には彼らなりの工夫がある。

 試合を決めた4番の鍋倉は次のように振り返る。
 

「自分の中では打席でマン振りするつもりはなかったんです。しっかりミート力を上げることを意識しながら振りに行ったんですが、それが結果的にマン振りしたみたいな形になりました」

 強豪を相手にして、接戦に打ち勝てたのは先に繋がる。打線だけではなく、これまではエースの宮城誇南に頼りきりだった投手力でも、8回途中から金田が登板して無失点に抑えて勝利に貢献している。

 また、準々決勝の第4試合では大阪桐蔭打線が6本塁打17得点と大爆発。それまで浦和学院の独占状態(5本塁打中4本)だった大会本塁打数を、1試合で追い抜く重量打線ぶりを見せた。

 当初は「本塁打不足」が懸念された大会も、長打が乱発する展開になってきた。頂点まであと2試合。浦学打線のこれからも気になるところだ。 

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号