球団ごとの年俸格差も問題だ。MLBでも各球団の年俸総額は天と地ほどの差があるのだが、それは雇っている高給取りの人数の違いによるもの。同程度の成績の選手が球団によって年俸が大幅に異なるということはない。
その理由は、年俸調停制度という第三者による公平な査定システムが機能しているからだ。貧乏球団に所属していても、提示額が不満なら調停に打って出れば、統一された判断基準により他球団で同様の成績を残している選手と同等に評価される。
また、FA取得までの時期も短く、わざわざ“宣言”しなくとも自動的になるため、飼い殺しにもされない。その分、簡単にクビも切られ、日本でも話題になった「ノンテンダー」の選手が多数生まれるわけだが、必然的にどのチームにもロースターの空きが生まれるので、最低限の実力があれば再就職に困りはしない。
日本にも年俸調停制度はあるが、実施に踏み切る者はほとんどおらず、大抵は不満はあっても最終的に妥協する。その結果、同じようなキャリア・実績であっても、資金の潤沢な巨人やソフトバンクの選手と、そうではない広島や中日の選手では年俸に大きな開きが生じている。
実例を挙げてみよう。以下はある2人のリリーフ投手の過去5年(2017~21年)の成績だ。
●投手A
登板:239 投球回:236.0 ホールド:76 セーブ:10 防御率:2.63
●投手B
登板:287 投球回:155.1 ホールド:95 セーブ:1 防御率:2.90
両者とも中継ぎで、Bは登板数とホールドは多く、Aは投球回数とセーブ数、防御率で勝る。総合的に見て、チームへの貢献度は投手Aが上回ると思う者が大半だろう。
だが、実際はBの嘉弥真新也(ソフトバンク)は5年間で計3億9000万円を手にし、Aの祖父江大輔(中日)は半分以下の1億9300万円にとどまっている(金額はいずれも推定)。この間、ソフトバンクは4年連続日本一を達成、対する中日は低迷続きという違いはあるが、ここまで差が開くと問題だ。これではドラフト制度の根本である「プロ野球はどのチームに入っても同じ」という建前も成立しなくなってしまう。
選手会は、この問題を強く訴えるべきだろう。最善策は調停制度をもっと活用すること。雇い主と揉めたくない、ファンから嫌われたくないという心理から消極的になるのもわからないではないが、気軽に調停を申請できる態勢ができれば、不公平は是正されていくはずだ。
その理由は、年俸調停制度という第三者による公平な査定システムが機能しているからだ。貧乏球団に所属していても、提示額が不満なら調停に打って出れば、統一された判断基準により他球団で同様の成績を残している選手と同等に評価される。
また、FA取得までの時期も短く、わざわざ“宣言”しなくとも自動的になるため、飼い殺しにもされない。その分、簡単にクビも切られ、日本でも話題になった「ノンテンダー」の選手が多数生まれるわけだが、必然的にどのチームにもロースターの空きが生まれるので、最低限の実力があれば再就職に困りはしない。
日本にも年俸調停制度はあるが、実施に踏み切る者はほとんどおらず、大抵は不満はあっても最終的に妥協する。その結果、同じようなキャリア・実績であっても、資金の潤沢な巨人やソフトバンクの選手と、そうではない広島や中日の選手では年俸に大きな開きが生じている。
実例を挙げてみよう。以下はある2人のリリーフ投手の過去5年(2017~21年)の成績だ。
●投手A
登板:239 投球回:236.0 ホールド:76 セーブ:10 防御率:2.63
●投手B
登板:287 投球回:155.1 ホールド:95 セーブ:1 防御率:2.90
両者とも中継ぎで、Bは登板数とホールドは多く、Aは投球回数とセーブ数、防御率で勝る。総合的に見て、チームへの貢献度は投手Aが上回ると思う者が大半だろう。
だが、実際はBの嘉弥真新也(ソフトバンク)は5年間で計3億9000万円を手にし、Aの祖父江大輔(中日)は半分以下の1億9300万円にとどまっている(金額はいずれも推定)。この間、ソフトバンクは4年連続日本一を達成、対する中日は低迷続きという違いはあるが、ここまで差が開くと問題だ。これではドラフト制度の根本である「プロ野球はどのチームに入っても同じ」という建前も成立しなくなってしまう。
選手会は、この問題を強く訴えるべきだろう。最善策は調停制度をもっと活用すること。雇い主と揉めたくない、ファンから嫌われたくないという心理から消極的になるのもわからないではないが、気軽に調停を申請できる態勢ができれば、不公平は是正されていくはずだ。