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MLB

彼らはまだ折れてはいない――「異国のプロ野球への適応」に取り組む鈴木誠也と筒香嘉智の「リアルな今」<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.09.22

 勝負の3年目。開幕直後から腰痛に悩まされたこともあり、.171と苦しんで8月にパイレーツから自由契約となり、ブルージェイズのマイナーから再出発した。

「もちろん、今年は良い成績を出したいと思ってスタートしたシーズンなんですけど、自分からしたら、まだまだ。まだ足りないんだなって感じなんです。ですからまた、オフシーズンに課題に取り組んで、来年を迎える感じですかね」。

 忸怩たる思いもあるだろうが、それが彼の口から出ることはない。

「今までの人生で、すぐにうまくいったっていう経験がない。僕は時間かけてでもちょっとずつ、根気良く続けることによって何かが見えてくるタイプ。もちろん、すぐパッとできるに越したことはないし、そうしに行くんですけど、そういうことも理解しながら、今、やれることを目の前のことを全力でやるって感じですかね」
 
 今、やれること=今まで信じてやってきたことの継続。マイナーリーグでシーズン終盤を迎えている彼の立ち位置を考えれば、未来はあまり明るくないようにも思えるが、「それもまた、一つの野球人生」と考えているような感じだった。

 それから約1週間後、カブスの本拠地リグリー・フィールド。試合開始まで、まだ4時間はあろうかという頃、外野の芝の上をトレーナーと一緒に気持ち良さそうに歩いている鈴木誠也外野手がいた。

 彼の「メジャー挑戦」もまた、山あり谷ありとなっている。

 MLB機構のロックアウトでキャンプが短縮され、開幕も遅れた1年目のシーズン。鈴木は開幕6試合で打率.412、3本塁打、5打点の好成績を挙げて週間MVPを受賞した。徐々に成績が下降していた5月、二塁へ盗塁した際に左手薬指をベースに強打して負傷者リスト入り。およそ1か月のリハビリを経て、7月4日に復帰した。

 9月6日のレッズ戦の5回、鈴木は甘い速球を叩いて、左中間スタンドに今季11号本塁打を放った。メジャー1年目の日本人野手としては、新庄剛志(01年メッツ)、先頃、同じカブスの福留孝介(08年)、青木宣親(12年ブルワーズ)の10本を抜いて歴代単独5位に浮上した。
 
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