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MLB

大谷翔平の“W規定到達”で蘇るイチローの言葉。天才の「予言」を超えた究極の存在へ<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2022.10.07

史上初となる投打同時に規定をクリアした大谷。その才能はもはやイチローの想像すらも超えていった。(C)Getty Images

史上初となる投打同時に規定をクリアした大谷。その才能はもはやイチローの想像すらも超えていった。(C)Getty Images

「ワンシーズンはピッチャー、次のシーズンは打者として。それでサイ・ヤング賞とホームラン王を取ったら……。そんなこと考えることすらできないですよ。でも、翔平はその想像させるじゃないですか、人に。この時点で明らかに人とは違う、違う選手であると思うんですけれど。

 その二刀流は面白いと思うんですよね。ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、その翌年には50本打ってMVP取ったら、これは化け物ですよね。でもそれは想像できなくないですからね。そんな風に思っています」

 当時の大谷は18年9月に受けたトミー・ジョン手術のリハビリ期間中。メジャー1年目で新人王を獲得した一方で、大きな故障を抱えたことで二刀流への懐疑論も根強く残っていた。この場でイチローの言葉を聞いた時、「そこまで上手くいくだろうか」と疑念を持った人間は決して少なくなかったはずだ。

 しかし、天才は天才を知る、ということなのだろう。イチローが「世界一の才能」と信じて疑わなかった逸材は、この2年後に大きく花開くことになる。ただそれは、イチローの想像すらも凌駕する形で。

 21年シーズン、大谷は46本塁打+9勝とベーブ・ルース以来の本格的二刀流選手として大活躍し、日本人選手ではイチロー以来のMVPを受賞。満票での選出はイチローすらもなし得なかった快挙だった。そして今季は「投手・大谷」として飛躍的な成長を遂げ、トータルでは昨季に負けずとも劣らないパフォーマンスを見せた。
 
 史上初となるW規定をクリアした大谷だが、ここまでの識者投票の趨勢を見ると、MVP投票はア・リーグ新記録の62本塁打を打ち立てたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が優勢となっている。一つ説明しておくと、ジャッジは62号だけが凄いのではなく、全体の打撃貢献度が歴代でも屈指の傑出ぶりで、かつチームを地区優勝に導いた点も大きなプラス材料となっている。

 もちろん、仮に大谷がMVPを逃すことになったとしても今季の功績が色褪せることはないし、2年連続でMVP候補に入ること自体が偉大なことだ。大谷が当たり前のようにプレーしてしまうがゆえに、ファンの感覚が麻痺してしまっているところすらある。先発して6回無失点に抑えた翌日にホームランを打つ……なんていうフレーズは、“大谷登場以前”では考えられなかったことだろう。

 現地8日から始まるポストシーズンで、今年も大谷の姿を見ることができないのは非常に残念で仕方がない。しかし、ロックアウトで開幕が遅れたシーズンにあって、その喧騒を忘れさせるプレーの数々。唯一無二の才能を今年も遺憾なく発揮してくれた大谷翔平のすごさを、シーズンの最後に改めて噛みしめたい。

構成●新井裕貴(SLUGGER編集部)

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