森はオリックスの地元大阪の出身でもある。入団会見の際には、オリックスとの縁についてこう語っている。

「小学６年生の時にバファローズジュニアのメンバーとしてプレーしていたので、またバファローズの一員になることができてすごくうれしく思います。地元大阪に戻ってくることができたので、出身の堺も含めて大阪を盛り上げたいと思います」

　その思いがあったからだろう。WBCへの出場も内定していたが、４年の長期契約を交わした「チームを優先するため」辞退した。

　気になる森の起用法だが、中嶋監督は早くから「捕手一本」を明言。もっとも、若月健矢との兼ね合いによってはDHでの起用にもあるだろう。また、吉田の穴を埋められるかどうかは森本人だけの問題ではなく、前後の打者も重要になってくる。２番の宗佑磨、４番の杉本が一昨年のような活躍を見せられれば、３番・森と合わせて対戦相手にとっては厄介な打線となる。さらに、５番に頼れる外国人選手が入れば、なおさら強力な布陣になるはずだ。
  　今季終了後には“投の神様”山本のメジャー挑戦が濃厚な状況なだけに、とにかく全力で３連覇を狙う。近藤を逃したのは手痛いが、森が自らの意思でオリックスを選び、WBCを辞退してでもチームを優先する姿を鮮明にしたことは、他の選手に与える影響も大きいはずだ。

取材・文●どら増田
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【著者プロフィール】
どらますだ／1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第９回 特集オリックス・バファローズ』（カンゼン）ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。