専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

【中日】巻き返しを狙う男たち――読谷村のブルペンで“自分の投球”と向き合う二人。5年目右腕・梅津晃大と2年目左腕・石森大誠の決意とは

岩国誠

2023.02.09

2年目を迎えた石森も昨年、肘の怪我を経験。やはり自分の投球を模索中だ。写真:岩国誠

2年目を迎えた石森も昨年、肘の怪我を経験。やはり自分の投球を模索中だ。写真:岩国誠

 読谷村のブルペンには、巻き返しを狙う男がもうひとり。最速155キロをひっさげ、九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズからドラフト3位で入団した左腕・石森大誠だ。

「去年はやはり、ずっと夢だった世界に入って、自分はどうやっていったらいいのかと迷ってしまった感じでした」

 火の国サラマンダーズ時代の石森は、当時はまだ投手コーチ(兼GM)だった馬原孝浩現監督の下、圧巻のピッチングを見せていた。ドラフトが近づいた9月、本拠地である熊本・リブワーク藤崎台球場には多くのスカウトの姿があった。その視線を集める中でも捕手が要求したコースへ強い速球がズバリと決まる。まさに「無双」と言える投球だった。

 晴れてNPB入りを果たした去年、即戦力リリーフとして期待され、キャンプは一軍スタート。しかし、制球難やケガもあって一軍登板はゼロ。2年目の今年、読谷からのシーズンスタートとなった。
 

「自分のやってきたものを出せば、通用したのかもしれませんが、どうしようという気の迷いが自分の中にあった。その時点で去年1年間が決まってしまったと今では感じています。ずっとあたふたしていて、自分のやるべきことをやるのではなく、いろんなことをやってしまった感じですね」

 自分を見失った1年目。その上、コンディション不良や肘の故障もあり、不甲斐ないと悔いを残すシーズンとなった。しかし、2年目へ向けての課題を見つけることもできた時間だったという。

「ケガをしたことで、動作解析に行ったりして、どれだけ自分の投げ方がケガに影響しているのかを改めて見直しましたし、よくするためにどうしたらいいのかと、いろんな人に聞いて、自分でも考え直すことができました。それはいい時間だったかなと思います」

 巻き返しを狙う今シーズン。テーマははっきりしていた。

「自分の強みをもっと活かすというところと、課題の制球力。そこを技術的にもっと磨いていくことです。元々、フォームの再現性がちょっと低いというのはあったのですが、去年は自分の感情に任せて力んでしまったり、腕が振れなくなることがありました。そういうところをなくして、常に平常心で同じ投げ方でというところを意識してやっています」

 片岡篤史二軍監督も「すごくいいボールを持っている」とその能力は認めている。あとはその期待に結果で応えるだけだ。

「練習でどれだけいい球を投げていても、試合でフォアボールを出したり、失投で打たれたりでは『やっぱりダメか』と思われてしまう。ブルペンでの自分を試合でもしっかり出していけるように、このキャンプで取り組んでいきたいと思います」

 キャンプ初日からブルペン入りした石森。1球投げるごと、捕手を務めた小田幸平二軍バッテリーコーチのミットが「バチーン!」と乾いた音を響かせる。その音に呼応するかのように、小田コーチも「こい!サラマンダー!」と石森を鼓舞。去年の迷いながら投げていた表情とは全く違う石森の姿がそこにあった。

 火の精霊・サラマンダーのように、燃えるような強い速球を自在に操り、夢の舞台で結果を残せるか。2軍キャンプ・読谷からの巻き返し、大いに期待したい。

取材・文●岩国誠

[著者プロフィール]
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
【関連記事】根尾昴、石川昂弥…中日二軍キャンプは若手有望株が目白押し! 一軍メンバーを脅かすのは誰だ?

【関連記事】36歳のベテラン涌井秀章が5日連続ブルペン入り「フォームが固まるまで」連投宣言!

【関連記事】現役ドラフトで中日に新加入の細川成也がパワフル打撃で猛アピール!立浪監督も第1クールのMVPに指名「パワーが非常に魅力」

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号