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高校野球

佐々木麟太郎はドラフトの目玉になり得るか? 高校通算117本塁打に隠れた「不安要素」と「可能性」を見る

西尾典文

2023.04.23

ファーストを中心に複数ポジションで出場こそしている佐々木。だが、そのレベルはお世辞にも高い評価が付くものではなく――。写真:滝川敏之

ファーストを中心に複数ポジションで出場こそしている佐々木。だが、そのレベルはお世辞にも高い評価が付くものではなく――。写真:滝川敏之

 もちろん不安要素も存在している。一つ目は打つ以外のプレーだ。キャッチャーやサード、時にはピッチャーとしてもプレーしている佐々木だが、主となるポジションはファースト。その守備についても昨年までの印象では決して上手いと言えるレベルではない。

 同じファーストを守る超高校級スラッガーである真鍋慧(広陵)も守備面の課題は多いが、脚力や肩の強さは備えており、サードや外野へのコンバートも考えられる。一方で、佐々木の現状からはプロでファースト以外を守っている姿はやや想像しづらい。そうなるとやはり指名打者制のないセ・リーグの球団は指名に二の足を踏むということも考えられる。最終的にはファーストに回るとしても、高校生の段階では複数ポジションをマルチにこなせる可能性を見せた選手の方が、当然、評価は高くなる。

 もう一つの不安要素は故障の多さだ。長期離脱するような大きな怪我はないものの、前述した胸郭出口症候群の手術以外にも、左すねの疲労骨折、左手の人差し指の骨折などを経験。4月1日の早稲田実との試合もかかとを痛めた影響で指名打者での出場となっている。プロ野球の長いシーズンを戦うためにも、故障に負けない身体作りが今後は重要となるはずだ。
 
 ただ、そういった不安要素を差し引いても、佐々木の打撃が大きな魅力を秘めているのは間違いない。今年に入ってから練習を視察したというスカウトに見せてもらったバッティングの映像は大げさではなくメジャーリーガーのような迫力があった。

 岩手県の春季大会はこれから地区予選がスタートする。そこでどれだけの打撃を見せてくれるかが本当に楽しみである。

 佐々木麟太郎、高校野球のラストシーズン、そしてドラフトに向けて――。そのバットから目が離せない。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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