もちろん不安要素も存在している。一つ目は打つ以外のプレーだ。キャッチャーやサード、時にはピッチャーとしてもプレーしている佐々木だが、主となるポジションはファースト。その守備についても昨年までの印象では決して上手いと言えるレベルではない。
同じファーストを守る超高校級スラッガーである真鍋慧(広陵)も守備面の課題は多いが、脚力や肩の強さは備えており、サードや外野へのコンバートも考えられる。一方で、佐々木の現状からはプロでファースト以外を守っている姿はやや想像しづらい。そうなるとやはり指名打者制のないセ・リーグの球団は指名に二の足を踏むということも考えられる。最終的にはファーストに回るとしても、高校生の段階では複数ポジションをマルチにこなせる可能性を見せた選手の方が、当然、評価は高くなる。
もう一つの不安要素は故障の多さだ。長期離脱するような大きな怪我はないものの、前述した胸郭出口症候群の手術以外にも、左すねの疲労骨折、左手の人差し指の骨折などを経験。4月1日の早稲田実との試合もかかとを痛めた影響で指名打者での出場となっている。プロ野球の長いシーズンを戦うためにも、故障に負けない身体作りが今後は重要となるはずだ。
ただ、そういった不安要素を差し引いても、佐々木の打撃が大きな魅力を秘めているのは間違いない。今年に入ってから練習を視察したというスカウトに見せてもらったバッティングの映像は大げさではなくメジャーリーガーのような迫力があった。
岩手県の春季大会はこれから地区予選がスタートする。そこでどれだけの打撃を見せてくれるかが本当に楽しみである。
佐々木麟太郎、高校野球のラストシーズン、そしてドラフトに向けて――。そのバットから目が離せない。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
【関連記事】1年から異彩を放った“広陵のボンズ”のいま。NPBスカウトも注目するドラフト候補・真鍋慧の魅力はどこか?
【関連記事】【どこよりも早い2023ドラフト候補ランキング│1~10位】大阪桐蔭・前田、ENEOS・渡会、広陵・真鍋、花巻東・佐々木…1位は果たして
【関連記事】驚愕のスタッツ、大谷翔平が記録づくめの歴史的快投を継続! 投打にわたる躍動に「一体何ができないんだ?」の声
同じファーストを守る超高校級スラッガーである真鍋慧(広陵)も守備面の課題は多いが、脚力や肩の強さは備えており、サードや外野へのコンバートも考えられる。一方で、佐々木の現状からはプロでファースト以外を守っている姿はやや想像しづらい。そうなるとやはり指名打者制のないセ・リーグの球団は指名に二の足を踏むということも考えられる。最終的にはファーストに回るとしても、高校生の段階では複数ポジションをマルチにこなせる可能性を見せた選手の方が、当然、評価は高くなる。
もう一つの不安要素は故障の多さだ。長期離脱するような大きな怪我はないものの、前述した胸郭出口症候群の手術以外にも、左すねの疲労骨折、左手の人差し指の骨折などを経験。4月1日の早稲田実との試合もかかとを痛めた影響で指名打者での出場となっている。プロ野球の長いシーズンを戦うためにも、故障に負けない身体作りが今後は重要となるはずだ。
ただ、そういった不安要素を差し引いても、佐々木の打撃が大きな魅力を秘めているのは間違いない。今年に入ってから練習を視察したというスカウトに見せてもらったバッティングの映像は大げさではなくメジャーリーガーのような迫力があった。
岩手県の春季大会はこれから地区予選がスタートする。そこでどれだけの打撃を見せてくれるかが本当に楽しみである。
佐々木麟太郎、高校野球のラストシーズン、そしてドラフトに向けて――。そのバットから目が離せない。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
【関連記事】1年から異彩を放った“広陵のボンズ”のいま。NPBスカウトも注目するドラフト候補・真鍋慧の魅力はどこか?
【関連記事】【どこよりも早い2023ドラフト候補ランキング│1~10位】大阪桐蔭・前田、ENEOS・渡会、広陵・真鍋、花巻東・佐々木…1位は果たして
【関連記事】驚愕のスタッツ、大谷翔平が記録づくめの歴史的快投を継続! 投打にわたる躍動に「一体何ができないんだ?」の声
関連記事
- 【どこよりも早い2023ドラフト候補ランキング│1~10位】大阪桐蔭・前田、ENEOS・渡会、広陵・真鍋、花巻東・佐々木…1位は果たして<SLUGGER>
- 【どこよりも早い2023ドラフト候補ランキング│11~20位】大商大の左右二枚看板、東京六大学屈指の強打者と大学生に好素材<SLUGGER>
- 驚愕のスタッツ、大谷翔平が記録づくめの歴史的快投を継続! 投打にわたる躍動に「一体何ができないんだ?」の声
- 偉大な父を持つ清原正吾と前田晃宏の課題は何か? 大学球界屈指の注目度を誇る“2世選手”の現状に迫る
- 「完全に常軌を逸してる」貫禄の11K! 大谷翔平が中3日で見せた快投に米識者も愕然「地球上で最も才能のある男」