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プロ野球

“弟分”から“兄貴分”へ――阿部慎之助の背中を追いかける攻撃型捕手・大城卓三の目覚ましい成長【密着女子アナが見た巨人】

真鍋杏奈

2023.06.19

 ダルビッシュ有(パドレス)投手の球をブルペンで受けた時には「初めて受けた球だった。」と、度肝を抜かれた。大谷翔平(エンジェルス)選手の飛び抜けた打撃力を目の当たりにした時は「もっと自分もやらないといけない。」と、大きな刺激を受けた。

 そして、捕手仲間でもある中村悠平(ヤクルト)選手と甲斐拓也(ソフト)選手をベンチから見ていて、試合中によくマウンドに行って、投手に声をかける姿を勉強した。点を取られても引きずらない「気持ちの切り替え」の部分も学んだ。

 そして何より、ダルビッシュ投手が常々みんなに声をかけていた「チームとして、楽しくやろう」という言葉で、プレーを楽しむマインドを思い出した。「本当に自分にとっていい経験になったし、凄いところで(野球を)やらせてくれて、感謝しかない」

 WBCでの経験は、本人の大きな財産となった。そして、自分が体感したその経験をジャイアンツの若い選手たちに伝えているとも話していた。

 大城選手が入団した頃は、捕手陣に阿部慎之助さんや炭谷銀仁朗選手、小林誠司選手がいて、大城選手はいわゆる“末っ子”だった。高校・大学の先輩でもあるエース菅野智之投手と初めてバッテリーを組んだ時に「緊張した~」と、初々しく漏らしていたのも覚えている。
 そんな“弟”だった大城選手が、今では「WBCの経験をもっと口に出していきたい」と話し、若い投手陣を引っ張り、積極的にマウンドやベンチで声をかけている。「若い投手が多いので、その投手の良さを引き出せるように(リードしたい)」「自分が守る時は勝ちにこだわりたい」と堂々と話すその様子は“兄”の姿に変わっていた。

 原辰徳監督は、阿部慎之助の姿に重ねるのは「まだ早いかもしれないけれど」と言いつつ、「相手チームはあまりいい存在ではないと思っているのではないでしょうか」と期待を込めながら語っている。

 巨人の“打てる捕手”は壁が高いが、大城選手は着実に一つ一つ階段を上っている。

「昨年は悔しい思いをしているので、ジャイアンツの一員として、優勝、日本一を目指したい。今度はジャイアンツのために戦いたい。」

 さぁ、今日も戦場に向かう背中を私たちは声援で後押ししよう。

文●真鍋杏奈(フリーアナウンサー)

まなべあんな。ホリプロ所属。フリーアナウンサー。ラジオ日本「ジャイアンツナイター」リポーターやYouTube「プロ野球OBクラブチャンネル」MCを担当。その他、社会人野球、高校野球の番組を務める。

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