01年にPED暗黒史における最大の悪玉バリー・ボンズが73本塁打を放ってMLB新記録を打ち立てたことで、マリスの61本塁打が「PEDとは無縁の最多本塁打記録」として、まるで「MLB最後の良識」のように扱われるようになったわけだ。
ジャッジが昨年記録した62本塁打(それで説明不十分なら、打率.311、OPS1.111、131打点というのを付け加えておきたい)が一つの基準として、今年それに達する可能性があるのは、他ならぬジャッジ自身のみだった。
もし、本塁打記録(あるいはそれに付随するOPSやWARなどの数字)がMVPレース投票に大きな影響を及ぼすなら、右足爪先の怪我からの復帰が「早くても球宴前後になるのではないか?」と予測されているジャッジの長期離脱は、彼から昨年の自己ベスト記録を更新するチャンスを奪っただけではなく、今年のMVP投票者で彼に投票する理由を奪い取ったことにもなる。
7月半ば以降の残り試合数を考えれば、ジャッジが自己記録を更新する可能性は低いし、そうなると「PEDに無関係な真の本塁打記録」という追い風も立たない。たとえ、復帰後のジャッジが本塁打を量産し、最終的に大谷の本塁打数を上回ったところで、それが50本塁打ならば「エース級投手の活躍」をしている大谷には到底かなわない。ついでに書いておくと、今後もエンジェルスが勝率5割以上を堅持し、プレーオフ進出に向けて戦うならば、「ジャッジはヤンキースの地区優勝に貢献したが、大谷擁するエンジェルスはプレーオフ争いすらできなかった」という戯言も言えなくなるだろう。
大谷がMVPを獲得した年、次点に終わったブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)の成績は、ア・リーグ最多の48本塁打に打率.311、OPS1.002、111打点で、大谷の46本塁打、打率.257、OPS.965、100打点をすべて上回っていた。ただし、そこに23試合に先発して130.1回を投げ、9勝2敗、防御率3.18といった「主戦投手」としての成績が加わると、大谷のWARが8.9となり、ゲレーロJr.のWAR6.7を上回った。
同じ考えで昨年のMVP投票を表現するなら、去年の大谷はMVP獲得年を上回るWAR9.6を記録しながら、WAR10.6を記録したジャッジに競り負けたということになる。もちろん、投票者にとって、WARは必ずしも最重要項目ではない。21年は、カルロス・コレア(当時アストロズ/現ツインズ)がWAR7.2、マルカス・セミエン(当時ブルージェイズ/現レンジャーズ)が7.1とゲレーロJr.を上回っていた。
さて、今年はどうなるか?
各選手の詳細な成績が網羅されていることで知られるBaseball-References.comには、いくつか興味深い機能がある。「Game Log」という項目では、期間を区切って、その範囲の成績を知ることもできる。そして、たとえば今年の開幕戦から出場70試合目までを指定すると、現時点での打撃成績だけではなく、「per 162 games」、つまり、その期間の成績を162試合換算した際の数字も見ることができる。
それによると「打者・大谷」が出場70試合目までの成績を今後も維持した場合、最終的にこういう数字を残しているそうだ。
ジャッジが昨年記録した62本塁打(それで説明不十分なら、打率.311、OPS1.111、131打点というのを付け加えておきたい)が一つの基準として、今年それに達する可能性があるのは、他ならぬジャッジ自身のみだった。
もし、本塁打記録(あるいはそれに付随するOPSやWARなどの数字)がMVPレース投票に大きな影響を及ぼすなら、右足爪先の怪我からの復帰が「早くても球宴前後になるのではないか?」と予測されているジャッジの長期離脱は、彼から昨年の自己ベスト記録を更新するチャンスを奪っただけではなく、今年のMVP投票者で彼に投票する理由を奪い取ったことにもなる。
7月半ば以降の残り試合数を考えれば、ジャッジが自己記録を更新する可能性は低いし、そうなると「PEDに無関係な真の本塁打記録」という追い風も立たない。たとえ、復帰後のジャッジが本塁打を量産し、最終的に大谷の本塁打数を上回ったところで、それが50本塁打ならば「エース級投手の活躍」をしている大谷には到底かなわない。ついでに書いておくと、今後もエンジェルスが勝率5割以上を堅持し、プレーオフ進出に向けて戦うならば、「ジャッジはヤンキースの地区優勝に貢献したが、大谷擁するエンジェルスはプレーオフ争いすらできなかった」という戯言も言えなくなるだろう。
大谷がMVPを獲得した年、次点に終わったブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)の成績は、ア・リーグ最多の48本塁打に打率.311、OPS1.002、111打点で、大谷の46本塁打、打率.257、OPS.965、100打点をすべて上回っていた。ただし、そこに23試合に先発して130.1回を投げ、9勝2敗、防御率3.18といった「主戦投手」としての成績が加わると、大谷のWARが8.9となり、ゲレーロJr.のWAR6.7を上回った。
同じ考えで昨年のMVP投票を表現するなら、去年の大谷はMVP獲得年を上回るWAR9.6を記録しながら、WAR10.6を記録したジャッジに競り負けたということになる。もちろん、投票者にとって、WARは必ずしも最重要項目ではない。21年は、カルロス・コレア(当時アストロズ/現ツインズ)がWAR7.2、マルカス・セミエン(当時ブルージェイズ/現レンジャーズ)が7.1とゲレーロJr.を上回っていた。
さて、今年はどうなるか?
各選手の詳細な成績が網羅されていることで知られるBaseball-References.comには、いくつか興味深い機能がある。「Game Log」という項目では、期間を区切って、その範囲の成績を知ることもできる。そして、たとえば今年の開幕戦から出場70試合目までを指定すると、現時点での打撃成績だけではなく、「per 162 games」、つまり、その期間の成績を162試合換算した際の数字も見ることができる。
それによると「打者・大谷」が出場70試合目までの成績を今後も維持した場合、最終的にこういう数字を残しているそうだ。
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