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MLB

政治家への不正献金で球界追放、相次ぐ差別発言での炎上。MLB史上に君臨した”最悪”のオーナーたち<SLUGGER>

出野哲也

2023.06.25

▼2位 アンドリュー・フリードマン(ジャイアンツ)

 ドジャースの敏腕編成責任者と同名だが、こちらは19世紀のニューヨーク・ジャイアンツのオーナー。ニューヨークで幅を利かせていた政治団体の有力者で、絵に描いたような傲慢な人物だった。1895年の就任以降、選手や監督たちと衝突を繰り返したのはもちろん、批判記事を書く新聞記者は出禁にした上、観客としての入場も認めなかった。

 特に酷かったのが、隣町ブルックリン(その頃はまだ独立した都市だった)を本拠とするドジャースへの仕打ちで、自身の政治的影響力を利用して他都市への移転を迫り、球場への地下鉄敷設計画も妨害した。横暴の数々に嫌気が差した選手たちは、1901年にアメリカン・リーグが誕生すると続々移籍していったが、後ろ盾だった有力者の失脚によって02年オフに退陣した。
▼1位 ジェフリー・ローリア(エクスポズ、マーリンズ)

 ここまで紹介したオーナーたちも酷かったが、迷惑を被ったのは1チームだけ。だが、この元アートディーラーは一つのフランチャイズを壊滅させ、もう1球団にも深刻なダメージを与えた。2000年にモントリオール・エクスポズを買収したが、何の人気回復策も打たないまま01年オフにMLB機構へ売り渡し、代わりにマーリンズを購入。エクスポズはその後05年にワシントンDCへ移転し、ナショナルズとなっている。

 マーリンズでもチーム強化には無関心で、選手が育っても年俸が上昇するとすぐ放出するためファンも愛想を尽かし、球場に足を運ばなくなった。それでもMLBから配られる収益分配金のおかげで、自身は総額3億ドル以上を懐に収めたという。12年の新球場完成後もその姿勢は改まらず、16年に買収時の約8倍の金額で売却。エクスポズもマーリンズも、ローリアにとっては財産を殖やすための材料でしかなかったのだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
 
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