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プロ野球

【現役ドラフトを考える Vol.1】MLBでは「飼い殺し防止策」が機能。サイ・ヤング賞投手輩出の例も

出野哲也

2019.12.16

 そうした選手たちを救済する目的で、プロ野球選手会は「現役選手ドラフト」制度の導入を訴えている。11月11日には素案が各球団に提示され、仮称ではあるが「ブレークスルードラフト」という名前も発表。時期こそ未定ながら、導入自体は確実と言っていい情勢だ。

 12月6日に日刊スポーツが報じたところによると、当初、選手会が求めていた「入団年数ごとに一軍登録日数の下限を設け、そこに満たない選手を全員対象にする」方法ではなく、「球団側が対象となる選手8人を指定したリストを作成して、全球団が最低1人は指名する」方法で調整を進めているとのこと。球団側の意思が強く反映されるものとなりそうで、しかも実施時期は8月の可能性が浮上しているらしく「これでは前倒しの戦力外通告と大差ない」との批判も聞かれている。
 
●MLBのルール5ドラフト
 メジャーリーグ(MLB)では、現役選手ドラフトに相当する制度がすでに存在する。毎年12月に実施されるルール5ドラフトと呼ばれるもので、MLB公式規則の第5条に明記されているのが名前の由来。新人選手を選択する「ルール4ドラフト」の導入が1965年だったのに対し、ルール5ドラフトは名称こそ変わっているものの1世紀以上も歴史がある制度だ。昨年のルール5ドラフトでは14人(マイナーまで含めると56人)が指名され、ヤンキースは6人の選手を取られた。

 ルール5ドラフトで指名の対象になるのは、契約時に18歳以下だった場合はプロ入り5年、19歳以上だと4年を経て、各球団の40人ロースター(登録名簿)に入っていない選手。これを40人ロースターに空席のある球団が、不足している人数分だけ指名できる。指名球団は、旧所属球団に10万ドルの移籍金を支払い、なおかつ25人ロースター(NPBでの出場選手登録に相当する)もしくは故障者リストに登録しておく必要がある。なお故障者リストに1年中登録しておくことはできず、必ず90日以上は25人ロースターに入れておかなければならない。
 
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