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MLB

大谷をトレードで放出しないなら、今からでもがむしゃらに補強を目指すべき――エンジェルスに迫られる“最終決断”<SLUGGER>

ナガオ勝司

2023.07.17

 エンジェルスはトラウトやレンドーンの放出を考えていないようなので、大谷を放出する場合ははあくまで、「一時的」かつ「即席」の「チーム再構築」となるだろう。もちろん、それは今オフ、FAとなった大谷と再契約するという前提の話なのだが、MLBではFAになった選手が出たばかりの球団と契約するのは珍しいことじゃないし、それもまたベースボール・ビジネスの一部に過ぎない。

 大谷は件の共同会見の際、エンジェルスに対する思いをこんな風に語っている。

「(ファン市場が)小さい、大きいにかかわらず、ファンの人が、すごい僕自身も好きですし、エンジェルスのことが好きで毎日見に来てくれる人たちもいるので、その大小にかかわらず、1試合、1試合丁寧に。コントロール出来ることをしっかり自分自身でコントロールして頑張りたいなと思っています」

 残り約2週間となったトレード期限について問われると、「コントロールできないことではあるので」とも語っている。それは、彼がメジャーリーガーとして同じ境遇にあった他の選手を間近で見てきたため、自分もそうなる覚悟ができているということだ。

 無理もない。

 81試合を終えた時点で、エンジェルスは44勝37敗(勝率.543)で、地区2位につけていた。首位レンジャーズとのゲーム差は5で、まさに手が届く範囲にあった。当時、Baseball-Referencesでは、エンジェルスのプレーオフ進出確率は32.8%、FanGraphsでは47.3%もあったのに、今では前者が3.1%、後者が10.8%と散々な状況だ。
 今の低迷を招いてしまったのは、ペリー・ミナシアンGM以下、球団フロントの舵切りが間違っていたからだ。

 エンジェルスは6月にマイク・ムスタカスとエデュアルド・エスコバー両内野手を補強しているが、近年のエンジェルスのトレードを見てきた人ならば、それが戦力の大幅向上につながらないことは分かっていたはずだ。過去数年がそうであったように、エンジェルスのトレードはいつも「穴埋め」程度で、前出のドジャースのように他球団を出し抜いての大型補強を敢行することはなかった。

 すべてをミナシアンGMのせいにするつもりはないが、誰かが責任を背負わなければならない。強権オーナーのアート・モレノ氏の介入や、球団売却問題がくすぶっていることなんて、理由にならない。「勝てるチームを構築する才能」が欠如しているのだから、もはや、ファーム組織の充実を図ったところで間に合わないのが現状だ。

 だからこそ、大谷というとてつもない価値の高い「トレード要員」を有効活用して、チームを即効的に再建するべきだと思う。

 
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