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MLB

大谷をトレードで放出しないなら、今からでもがむしゃらに補強を目指すべき――エンジェルスに迫られる“最終決断”<SLUGGER>

ナガオ勝司

2023.07.17

 日本のメディアや、大谷のファンにとっての最良の事態は、彼がワールドシリーズ優勝を懸けた舞台で、WBCで見せたような活躍をm、見せることであり、最悪の事態は、大谷がエンジェルスに留まり、今年もプレーオフ進出を逃してしまうことである。

 大谷を放出したとしても、それがエンジェルスとの「永遠の別れ」になるとは限らないのだから、今夏のトレードは両者にとって「Win-Win」となるはずだ。

 何が何でも大谷とともにプレーオフへ進出したいというのなら、エンジェルスはそれこそ何が何でもがむしゃらに補強に打って出るべきだ。先発右腕マーカス・ストローマン(カブス)やリリーバーのデビッド・ベッドナー(パイレーツ)など、チームの弱点を埋めてくれそうな選手はいくらでもいる。

 そのために、若いジョー・アデルや105マイル男のベン・ジョイスらを手放してもいいんじゃないか、とさえ思う。
 大谷がWBC準決勝のメキシコ戦で、バットを短く持って二塁打を放ち、村上宗隆(東京ヤクルト)の逆転サヨナラ打を導き出したように、そして決勝のアメリカ戦でクローザーとして登板し、トラウトを三振に仕留めて胴上げ投手になったような活躍をプレーオフでも見せてくれるなら、有望株の2、3人をあきらめたっていいじゃないか、と思う。

 そこまでドラマチックで漫画みたいな結末にならなくてもいい。大谷が今年、エンジェルスのユニフォームを着たまま、「ヒリヒリした9月」を過ごせるだけでも、決して「有望株の無駄遣い」にはならないと思うのだが、果たして――。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO
 
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