森田は続ける。
「野球以外の時間も大切だなと感じるようになりました。今までだったら、テレビを見て無駄に過ごしていた時間を少しでも野球につながるようにと考えるようにしました。例えば、朝起きて、まずはストレッチをしてみるとかですね」
森田はウェイト・トレーニングなどでパワーをつけること以上に、ブリッジや開脚などのストレッチをすることによって身体の柔軟性などを高めることを意識してきた。特に、起床後に確認することが多いという。
起床してからの状態の確認はアスリートにとってとても重要なことだ。WBC日本代表合宿で、ダルビッシュ有(パドレス)は「毎日、体の状態が異なる。それに合わせたことをしていかないといけない」とメンバーたちに説いていた。1日のルーティンを大切にすることは、日々のパフォーマンスの向上に役立つというわけである。
森田の話すことにも、それに通ずる部分がある。
「朝、ストレッチをやることによって自分の状態が分かるっていうか。もし、その日、ある部分が硬いと思ったら、そこを柔らかくすることに時間を使って、いつも同じ状態にするとようにしています。毎日、練習や試合があったりするので、それを確認している感じですね」
練習試合を多くこなすことで、好投手との立ち遅れをなくし対応力を高める。一方で、日頃は意識を野球に向けていく。それは起床後から始まる森田のルーティーンだ。これだけの取り組みがあるから、大阪大会からの好調を持続できているのだ。
次戦は昨夏の覇者・仙台育英との対戦が決まっている。
150キロ投手を複数そろえる投手陣との対戦は、森田の野球人生にとって大きなものになるだろう。
彼は改めて気合を入れる。
「好投手がそろっていてすごいチームですので、次も変わらず同じ準備をして、力を発揮できるようにしたいです」
思えば2010年夏、森田の先輩であるヤクルトの山田哲人は、最後の甲子園で活躍を見せ、一気にドラフト戦線のトップに踊り出した。当時の高校生では山田より先んじて活躍していた西川遥輝(現楽天)や、吉川大幾(元中日→巨人)を凌駕する評価を受けて、外れ外れながらもヤクルトから1位で指名されたのである(西川は日本ハム、吉川は中日からそれぞれ2位で指名されている)。
佐々木、真鍋、佐倉が注目されて始まった今大会。だが今は、森田が先輩・山田のように、これまでの評価をひっくり返すような勢いを見せている。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
「野球以外の時間も大切だなと感じるようになりました。今までだったら、テレビを見て無駄に過ごしていた時間を少しでも野球につながるようにと考えるようにしました。例えば、朝起きて、まずはストレッチをしてみるとかですね」
森田はウェイト・トレーニングなどでパワーをつけること以上に、ブリッジや開脚などのストレッチをすることによって身体の柔軟性などを高めることを意識してきた。特に、起床後に確認することが多いという。
起床してからの状態の確認はアスリートにとってとても重要なことだ。WBC日本代表合宿で、ダルビッシュ有(パドレス)は「毎日、体の状態が異なる。それに合わせたことをしていかないといけない」とメンバーたちに説いていた。1日のルーティンを大切にすることは、日々のパフォーマンスの向上に役立つというわけである。
森田の話すことにも、それに通ずる部分がある。
「朝、ストレッチをやることによって自分の状態が分かるっていうか。もし、その日、ある部分が硬いと思ったら、そこを柔らかくすることに時間を使って、いつも同じ状態にするとようにしています。毎日、練習や試合があったりするので、それを確認している感じですね」
練習試合を多くこなすことで、好投手との立ち遅れをなくし対応力を高める。一方で、日頃は意識を野球に向けていく。それは起床後から始まる森田のルーティーンだ。これだけの取り組みがあるから、大阪大会からの好調を持続できているのだ。
次戦は昨夏の覇者・仙台育英との対戦が決まっている。
150キロ投手を複数そろえる投手陣との対戦は、森田の野球人生にとって大きなものになるだろう。
彼は改めて気合を入れる。
「好投手がそろっていてすごいチームですので、次も変わらず同じ準備をして、力を発揮できるようにしたいです」
思えば2010年夏、森田の先輩であるヤクルトの山田哲人は、最後の甲子園で活躍を見せ、一気にドラフト戦線のトップに踊り出した。当時の高校生では山田より先んじて活躍していた西川遥輝(現楽天)や、吉川大幾(元中日→巨人)を凌駕する評価を受けて、外れ外れながらもヤクルトから1位で指名されたのである(西川は日本ハム、吉川は中日からそれぞれ2位で指名されている)。
佐々木、真鍋、佐倉が注目されて始まった今大会。だが今は、森田が先輩・山田のように、これまでの評価をひっくり返すような勢いを見せている。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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