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MLB

世界一3度の実績を誇るバムガーナー、新天地ダイヤモンドバックスを選んだ決め手は「馬」?

宇根夏樹

2019.12.20

 バムガーナーのFIPを見ると、メジャー1年目の09年~16年までは3.12と非常に優秀だったのに対し、ここ3年間は3.95、3.99、3.90と推移している。今年8月で30歳とまだ比較的若いバムガーナーだが、パフォーマンスは明らかに全盛期より落ちていることが分かる。また、ここ2年はホームとアウェーでの防御率の乖離も激しい(2.48/5.16)。投手有利な球場として知られるオラクル・パークを離れると、今以上に成績が悪化することも考えられるのだ。

 一方、バムガーナーにとってはダイヤモンドバックスは決して悪い選択ではない。慣れ親しんだナ・リーグ西地区で引き続き投げられることに加え、新たなホームグラウンドとなるチェイス・フィールドでは通算20試合で8勝4敗、防御率3.19と好投している。

 さらに、もう一つ好材料がある。それは馬だ。ダイヤモンドバックスが本拠を置くアリゾナ州フェニックスで、バムガーナーは馬を飼っている。17年にルーネッド・オドーア(レンジャーズ)が6年4900万ドルの延長契約を交わした際、金銭とは別に馬の親子がついて話題になったが、バムガーナーの今回の契約も馬が一役買った可能性は十分ある。
 
 15年のホーム開幕戦で、ジャイアンツが前年のワールドチャンピオンを称える記念セレモニーを催した時、バムガーナーは馬に乗って球場を闊歩した。1996年にヤンキースがワールドシリーズ優勝を果たした際にもウェイド・ボッグスが馬に乗ったが、その時は騎馬警官の後ろ。ノースカロライナの田舎町で育ったバムガーナーは一人で騎乗し、余裕たっぷりに手綱を握っていた。

 バムガーナーはこれまでポストシーズン通算102.1イニングで防御率2.11と抜群の強さを発揮している。14年のワールドシリーズでは、2先発と1救援の計21.0イニングで1点しか与えず、文句なしのMVPに選ばれた。ダイヤモンドバックスでもワールドチャンピオンに輝けば、今度は愛馬にまたがって……となるだろうか。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
 
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