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プロ野球

コロナ禍で2か月半の練習自粛も…逆風に立ち向かう琉球ブルーオーシャンズの現在地

岩国誠

2020.10.11

モンテルは元ヤクルトの村中に弟子入りし、キャッチボールの基礎から学んだ。写真:岩国誠

モンテルは元ヤクルトの村中に弟子入りし、キャッチボールの基礎から学んだ。写真:岩国誠

「活動自粛が始まった4月は、野球だけでなく、どの職種でも経済的な部分も含めて本当に先の見えない状態になっていたと思うんです。『NPBへ復帰すると言ってもトライアウトはあるのか』とか。『そもそも、プロ野球は開幕するのか』とか。どうなっていくのか全くわからない状況でしたね」

 目指している場所もどうなるかわからない。そんな状況での活動自粛期間は、コーチの直接的なサポートができないばかりか、トレーニング施設の休業などもあって、チームの育成プランとしても一旦リセットすることが強いられるなど、活動を継続するにも厳しい環境となった。

 そんな環境で改めて野球ができることのありがたみを強く感じたと話すのが、チーム最年少の日隈モンテル投手(20歳)だ。

「この自粛期間をうまく使おう。1から変えていこう」と、まずは今年2月の琉球入りした元東京ヤクルトスワローズ・村中恭兵投手に弟子入り。コーチの指導は受けられないが、ソーシャルディスタンスを保ちながら、キャッチボールの基礎から徹底的に教えを受けた。
 
 現在、リリースポイントに課題があると言うが、間近で見たキャッチボールのフォームは、2月当初の腕力に頼ったものではなく、下半身もかなり使えるようになり、力強さが増していた。

 相手を務めた村中のグラブから「パチーン!」と、気持ちいい音が聞こえてくる。基礎から見つめ直したことで、コーチ陣から教わった体の使い方を、より実践できている一つの結果と言えるのではないだろうか。

 モンテルを始め、そんな厳しい環境の中で、各々が切れてしまいそうな気持ちをなんとかつなぎとめて迎えた活動自粛再開。一人も離脱することなく全員がグラウンドに顔を揃えた。そこから再び、同じ目標を持つ仲間と共に汗を流す日常を少しずつ取り戻していった。

「後退はしていない。みんな必ず前進している」。沖縄の地でただひたむきに、野球と向き合い続けてきた琉球ブルーオーシャンズの選手たち。久しぶりにみた練習している姿からは、個人の技術を追求していく探求者でありながらも、純粋に野球を楽しむ野球小僧のようでもあった。

 球団設立時から、今年の大きな目標として掲げているのが、まず一人でも選手をNPBへ送り出すこと。しかし、こういう状況下の中、実際に選手を見てもらえているのだろうか。
 

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