広島：60点（即戦力：20点・将来性：40点）

　元々自前で選手を育てる球団だが、このオフも補強は新外国人のデビッドソン、現役ドラフトで獲得した戸根千明だけで、ドラフトも高校生が中心ということもあって即戦力は低い評価となった。そんななかで期待できるのはドラフト3位の益田武尚だ。秋は少し調子を落としていたのが気がかりだが、都市対抗では完封勝利もマークするなど社会人でも屈指の実力者である。状態さえよければ1年目から一軍の戦力となる可能性も高い。

　かたや将来性は、投手は斉藤優汰、野手は内田湘大、清水叶人とスケールの大きい高校生の指名は魅力だ。とくにここ数年は大学生、社会人の即戦力投手が中心の指名が続いており、若手のプロスペクトが少ないだけに、彼らをしっかり鍛え上げられるかがチームの将来にとって非常に重要になるだろう。
  中日：55点（即戦力：25点・将来性30点）

　投手では涌井秀章、砂田毅樹という実績のある投手を獲得し、例年になく活発なトレードを見せた中日。だが、二遊間のレギュラーだった阿部寿樹と京田陽太が退団したマイナス要素はやはり大きい。さらにバックアップの三ツ俣大樹も自由契約（ヤクルトへ入団）としており、内野は大幅に入れ替わる。村松開人、田中幹也、福永裕基など楽しみなルーキーはいるものの、懸念材料が少なくなく25点と評価した。

　また、ドラフトでも前述したような比較的早く使える選手を多く指名したことで高い評価はしづらい。1位の仲地礼亜、3位の森山暁生は将来性豊かな投手で、4位の山浅龍之介も高校球界では上位の力を持った捕手だが、チーム事情を考えるとやはりスケールの大きい高校生の野手を狙いたかった。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも多くの選手やデータを発信している。

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