ここでようやく本題に戻る。「なぜまだ若く、実力もある選手が“戦力外”となるのか?」。ざっくり言うとその理由は、「球団がその選手の予想年俸額を高すぎると思っているから」だ。
たとえば、ヘルナンデスは今季年俸775万ドルに対し、来季の予想額は1175万ドルとなっている。これなら、もっと安い額で同等の力量を持つ選手を探せる、もしくはその資金を使って他のポジションを補強するほうが理に適っている、とフィリーズは考えたのだろう。ペラーザの場合は、今季年俸が277.5万ドルで来季の予想額が360万ドル。MLBの基準では決して高い額ではないが、それでもレッズはノンテンダーとすることを選択した。
もっとも、“戦力外”とは言っても、ノンテンダーとなった選手が元球団と再契約することもできる。たとえばフィリーズは「1175万ドルのヘルナンデスは高すぎるが、850万ドルなら契約してもいい」と考えるかもしれない。この場合、ヘルナンデスにとっても小幅ながら昇給することになるので、決して悪い話ではない。
このように、良し悪しはともかく徹頭徹尾ビジネスの力学が大きく働くのがMLBの契約事情だ。公平で透明性も高いが、その分シビアでもある。そこからすると、「1時間粘って100万円の昇給を勝ち取った」というような日本の契約更改には微笑ましさすら感じる。
文●久保田市郎(スラッガー編集長)
たとえば、ヘルナンデスは今季年俸775万ドルに対し、来季の予想額は1175万ドルとなっている。これなら、もっと安い額で同等の力量を持つ選手を探せる、もしくはその資金を使って他のポジションを補強するほうが理に適っている、とフィリーズは考えたのだろう。ペラーザの場合は、今季年俸が277.5万ドルで来季の予想額が360万ドル。MLBの基準では決して高い額ではないが、それでもレッズはノンテンダーとすることを選択した。
もっとも、“戦力外”とは言っても、ノンテンダーとなった選手が元球団と再契約することもできる。たとえばフィリーズは「1175万ドルのヘルナンデスは高すぎるが、850万ドルなら契約してもいい」と考えるかもしれない。この場合、ヘルナンデスにとっても小幅ながら昇給することになるので、決して悪い話ではない。
このように、良し悪しはともかく徹頭徹尾ビジネスの力学が大きく働くのがMLBの契約事情だ。公平で透明性も高いが、その分シビアでもある。そこからすると、「1時間粘って100万円の昇給を勝ち取った」というような日本の契約更改には微笑ましさすら感じる。
文●久保田市郎(スラッガー編集長)