この言葉を聞けば、平良がいかに「現代のピッチャーが何を求められているか」を理解しているかが分かる。フライボールピッチャーではリスクが高いとメジャーでは言われているが、彼もそのことを強く意識してピッチングを作っているのだ。
データサイエンスを駆使し、それこそ先進的なピッチャーとしての道を歩んでいる平良。2戦目には興味深い場面があった。結果的に、この試合最後の対戦打者となったロッテの4番・山口航輝を迎えた場面だ。
5回にチームが逆転。6回は2死を取ったものの、そこから四球を出し、試合を考える上ではポイントとなる打者だった。カウントが3−1になったところで、平良はプレートを外したのだ。そして、一呼吸を置いた後、ストレートを投げ込んだ。156キロを計測して空振り。さらにもう1球、今度はアウトローに決まる渾身の154キロ。一発のある山口を見逃し三振に切って取った。この試合のハイライトと言って良かった。
平良はこのシーンをこう振り返った。
「サインはカットボールだったんですけど、ファウルでカウントをとりたかったのでプレートを外した後にサインに首を振ってまっすぐを投げました。最後は変化球を選んだ方がいいかもしれないんすけど、ちょっと気持ちが入りました。そこは冷静になれなかったですね。自分の最後の全力を出そうと思って投げました。ちょっとひっかけ気味になったんで、抑えられたのはラッキーな球でした」
データにこだわる投手が最後は本能で勝負した。
「結果がでなかったら試合に出れないですし、給料は下がります。いろいろ言われたりしますけど、自分のやりたいことに責任を持ってやっていこうと思います」
情報に敏感で、自ら分析する力もあり、そして、自分の考えを言葉にして伝えようという意思も強い。
西武投手陣を先頭で引っ張る投手になるのではないか。いや、日本球界のトップに君臨する日もそう遠くない。
そんな予感さえする平良の“先発初勝利”だった。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
データサイエンスを駆使し、それこそ先進的なピッチャーとしての道を歩んでいる平良。2戦目には興味深い場面があった。結果的に、この試合最後の対戦打者となったロッテの4番・山口航輝を迎えた場面だ。
5回にチームが逆転。6回は2死を取ったものの、そこから四球を出し、試合を考える上ではポイントとなる打者だった。カウントが3−1になったところで、平良はプレートを外したのだ。そして、一呼吸を置いた後、ストレートを投げ込んだ。156キロを計測して空振り。さらにもう1球、今度はアウトローに決まる渾身の154キロ。一発のある山口を見逃し三振に切って取った。この試合のハイライトと言って良かった。
平良はこのシーンをこう振り返った。
「サインはカットボールだったんですけど、ファウルでカウントをとりたかったのでプレートを外した後にサインに首を振ってまっすぐを投げました。最後は変化球を選んだ方がいいかもしれないんすけど、ちょっと気持ちが入りました。そこは冷静になれなかったですね。自分の最後の全力を出そうと思って投げました。ちょっとひっかけ気味になったんで、抑えられたのはラッキーな球でした」
データにこだわる投手が最後は本能で勝負した。
「結果がでなかったら試合に出れないですし、給料は下がります。いろいろ言われたりしますけど、自分のやりたいことに責任を持ってやっていこうと思います」
情報に敏感で、自ら分析する力もあり、そして、自分の考えを言葉にして伝えようという意思も強い。
西武投手陣を先頭で引っ張る投手になるのではないか。いや、日本球界のトップに君臨する日もそう遠くない。
そんな予感さえする平良の“先発初勝利”だった。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。