「結果は非常に良かったんですけど、まだ微調整しなければいけない部分もある。打席の中で心配していたことが思っていたより良かった部分もあるし、そのへんは行ったり来たり。これからずっと、シーズンが終わるまで続くことだと思うので、しっかり日々やっていきます」
そのへんは行ったり、来たり――。
その言葉通り、絶好のスタートを切ったオープン戦だったが、出遅れを取り戻すために、いや、レンジャーズのブルース・ボウチー監督の言葉を借りれば、「なるべく多く打席を与えたい」がための強行出場に、次第に成績が落ち着いていく。
オープン戦では通常、1試合出ては1試合休み。連続出場するのは開幕が近づいた終盤のみのはずが、いきなり4試合連続出場すると、オフ日開けから再び、連続出場が続いた。彼自身は一切言い訳をしていないが、早朝には一塁守備を個別練習することも多く、午前中は個人練習、チーム練習に明け暮れ、午後はオープン戦出場と休む暇はなかった。
結果的に今年のオープン戦は、他の選手よりも20打席ほど足りない30打席前後に終わり、打率2割、1本塁打、6打点で開幕メジャーはならなかった。「開幕マイナー」が決まった時、筒香はキャンプ地でこう言っている。
「そこに関しては僕には左右できないところですので、今まで通り変わらず、やり続けるだけだなと思います。全然、暗くもなってないですし、明るく、前向きに変わらず、やっていこうと思っています」 テキサス州南部のマイナー球場で取材したのは、それから10日以上が経った日の午後だった。筒香は「まぁ、まだまだこれからですよ」と言った。
「キャンプでどうしても打席が少ないなかで、マイナーでのスタートとなりましたけど、ここではいつも試合に出て打席数が増えるので、良くなっていくんじゃないかなと思っています」
開幕から12勝6敗(勝率.667)でア・リーグ西地区の首位を快走するレンジャーズで、メジャーに昇格するのは簡単なことではない。だが、他の選手同様、彼がその場所を目指し、前進していることは確かだ。マイナーでの開幕直前、彼はチームからあるリクエストをされたという。
「ファーストだけではなく、サードもやってほしいということで、昨日あたりから練習し始めたんですけれど、それをいいように捉えてます」
内外野で複数のポジションを守れることは、昨今のメジャーリーグでは大きな武器になる。代打で途中出場した時の選択肢が増えるし、主力選手に休養を与えたいチームにとっては、マイナーの選手が「一塁」「左翼」「三塁」を守れるという事実は大きい。
だが、そんなことよりも重要なのは、今の筒香がアメリカでの4年目のシーズンを、過去にないほど地に足が着いたような感じで見つめていることではないかと思う。
マイナー開幕から2週間。4月21日時点で13試合に出場して打率.238(42打数10安打)ながら、1本塁打、7打点と、持ち前の勝負強さを発揮。打席での粘り強さも、出塁率.407という数字から見て取れる。
「野球が……オープン戦では最後まで打席に立っていたけど、キャンプが終わって、何日間か時間が空いていたので、打席に入る喜びとか、楽しさがある……はい、楽しいんです」
その楽しさにはきっと、まだ「その先」がある。
今はただ、広いアメリカ合衆国のどこかで行なわれているマイナーリーグの結果に、一喜一憂しながら、「その先」が来るのを待ち続けるのみだ――。
文●ナガオ勝司
【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO
そのへんは行ったり、来たり――。
その言葉通り、絶好のスタートを切ったオープン戦だったが、出遅れを取り戻すために、いや、レンジャーズのブルース・ボウチー監督の言葉を借りれば、「なるべく多く打席を与えたい」がための強行出場に、次第に成績が落ち着いていく。
オープン戦では通常、1試合出ては1試合休み。連続出場するのは開幕が近づいた終盤のみのはずが、いきなり4試合連続出場すると、オフ日開けから再び、連続出場が続いた。彼自身は一切言い訳をしていないが、早朝には一塁守備を個別練習することも多く、午前中は個人練習、チーム練習に明け暮れ、午後はオープン戦出場と休む暇はなかった。
結果的に今年のオープン戦は、他の選手よりも20打席ほど足りない30打席前後に終わり、打率2割、1本塁打、6打点で開幕メジャーはならなかった。「開幕マイナー」が決まった時、筒香はキャンプ地でこう言っている。
「そこに関しては僕には左右できないところですので、今まで通り変わらず、やり続けるだけだなと思います。全然、暗くもなってないですし、明るく、前向きに変わらず、やっていこうと思っています」 テキサス州南部のマイナー球場で取材したのは、それから10日以上が経った日の午後だった。筒香は「まぁ、まだまだこれからですよ」と言った。
「キャンプでどうしても打席が少ないなかで、マイナーでのスタートとなりましたけど、ここではいつも試合に出て打席数が増えるので、良くなっていくんじゃないかなと思っています」
開幕から12勝6敗(勝率.667)でア・リーグ西地区の首位を快走するレンジャーズで、メジャーに昇格するのは簡単なことではない。だが、他の選手同様、彼がその場所を目指し、前進していることは確かだ。マイナーでの開幕直前、彼はチームからあるリクエストをされたという。
「ファーストだけではなく、サードもやってほしいということで、昨日あたりから練習し始めたんですけれど、それをいいように捉えてます」
内外野で複数のポジションを守れることは、昨今のメジャーリーグでは大きな武器になる。代打で途中出場した時の選択肢が増えるし、主力選手に休養を与えたいチームにとっては、マイナーの選手が「一塁」「左翼」「三塁」を守れるという事実は大きい。
だが、そんなことよりも重要なのは、今の筒香がアメリカでの4年目のシーズンを、過去にないほど地に足が着いたような感じで見つめていることではないかと思う。
マイナー開幕から2週間。4月21日時点で13試合に出場して打率.238(42打数10安打)ながら、1本塁打、7打点と、持ち前の勝負強さを発揮。打席での粘り強さも、出塁率.407という数字から見て取れる。
「野球が……オープン戦では最後まで打席に立っていたけど、キャンプが終わって、何日間か時間が空いていたので、打席に入る喜びとか、楽しさがある……はい、楽しいんです」
その楽しさにはきっと、まだ「その先」がある。
今はただ、広いアメリカ合衆国のどこかで行なわれているマイナーリーグの結果に、一喜一憂しながら、「その先」が来るのを待ち続けるのみだ――。
文●ナガオ勝司
【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、