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プロ野球

「育成改革」に着手する西武、入団テストで徹底したデータ収集!多種多様な計測数値から潜在能力を可視化する意図とは?<SLUGGER>

氏原英明

2023.09.08

ファーム育成ディレクターの秋元宏作氏は、「(入団テストでは)意外と面白いものが見れました」と語った。写真:氏原英明

ファーム育成ディレクターの秋元宏作氏は、「(入団テストでは)意外と面白いものが見れました」と語った。写真:氏原英明

 ファーム育成ディレクターの秋元宏作氏は、この日のテストをこう総括した。
「反応系の数値は単純にスプリントの速さとは比例しないのがわかった。これはポジションの特性もあったりするので、 そういった部分はうちの選手たちも測定しているんですけど、単純にテストだけじゃなくて、育成の中での材料としてもどんどん活用していきたいと思いました。遠投は今年からは40メートルにして、プレーの中で必要になる低い球を計測しました。球質だったり、コントロール、あとは球速を測って、意外と面白いものが見れました」

 実戦形式のライブBPの結果だけの評価なら、この入団テストはそれほど驚くべきものではないだろう。しかし、これまで述べているように、さまざまな数値から選手の能力を可視化して獲得しようという姿勢には、西武の育成面への心意気が見えるというものである。
 
 坂本、秋元両氏のコメントにあったように、西武の選手はほとんどこれらの数値を計測している。入団テストは「スカウティング」の一環だが、その数値を比較して見定めようとしているあたりは、「スカウティング」と「育成」は同時進行であることを感じているからこその指針だろう。

 秋元氏は続ける。
「編成から育成まで、大きなまとまりの中で一緒にできないかというところを感じていて、(この試みは)始まりの段階でもあります。実際、うちのスカウトの見る目というか、スカウト力は本当にすごいものなので、 逆に、そこにプラスアルファでもっと何かできないかというのがあって、今チャレンジを始めたところです。これが正解というわけではなく、もしかしたらテストのやり方自体、計測しているメニュー自体も本当にもっと良いものがあるかもしれない。一生懸命データを集めながら、方向性を見つけていこうと思います」

 本当の意味でも“育成の西武”と自他ともに認められるために――。

 入団テストを通して、西武がさらなる育成の発展を目指しているのが伝わってきた。

取材・文●氏原英明

【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。
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