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プロ野球

柳田悠岐と千賀滉大――なぜ、日本を代表する二人の“メジャー”への想いは分かれたのか

喜瀬雅則

2019.12.27

 日本を代表するエースに成長した男は、今回の契約更改交渉の席でも、改めて「メジャー挑戦」を訴えている。順調にいっても、海外FA権取得は2023年。可能なら、1年でも早く、1歳でも若いうちに行きたいというのが選手心理だ。今回も「ポスティング・システム」での移籍の可能性について、ここ数年、継続的に球団側と話し合っている。

 メジャーには行かないと決断した柳田と、メジャー志望を公言する千賀。

 おそらく、日本球界の中でも「最もメジャーに近い選手」を投打に分けて尋ねたら、間違いなく、この2人の名前が挙がってくることだろう。

 なぜ、このタイミングで、2人の思いは“別の道”に分かれたのか。これを、2人の「目標へのルート設定」という観点で見ると、読み解けてくる。
 
 柳田も、千賀も「メジャー」という目標がある。

 柳田は、そこへ向かって、迷いなく、突っ走っていくタイプだ。
 フルスイング。トリプルスリー。サイクルヒット。日米野球で4番。その一つひとつの経験が、自信を深めていく。
 
 その柳田にとって、思わぬ計算違いは、今季の「ケガ」だった。

 左ひざ裏の肉離れで、復帰まで4か月半を要した。これで、FA権の取得が遅れた。順調なら、来季(2020年)に海外FA権を獲得する流れだった。しかし、これが最短でも2021年までずれ込むことになった。

 2022年からのメジャー移籍になれば、柳田は33歳からの挑戦となる。
 ここが、柳田の心に“引っかかった点”だった。

 わずか1年、されど1年。

 年齢とともに、心身のバランスも変わってくる。日本での2シーズンの間に、再びケガをすれば、さらに海外FA権取得が遅れる可能性だってある。やれる、やれない。その逡巡は、メジャーという目標までの「距離」だった。

 想定からずれた1年。その分の「距離」を、埋められないかもしれない。

 迷っていた自分に、球団は“終身雇用”ともいうべき7年契約を提示してくれた。

「流れとか、運命とか、自分、信じるタイプっす」

 だから、これでいいんだ―ー。
 

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