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プロ野球

柳田悠岐と千賀滉大――なぜ、日本を代表する二人の“メジャー”への想いは分かれたのか

喜瀬雅則

2019.12.27

 その“猛進型”の柳田と対照的に、千賀は大目標を見据え、いくつかの関門を設定した上で、その段階ごとに、丹念に課題をクリアしていく“こつこつタイプ”と言える。

 入団当時、1軍の先発ローテーションを担っていたのは、和田毅、杉内俊哉、摂津正、D・J・ホールトン。「どうなれば活躍できるか。もう、日本代表みたいな選手になるしかないですよね。すぐに思いました。みんな、日の丸を背負っているような人でしたから」

 日本のトップレベルにならなければ、ホークスの1軍では投げられない。
 育成という立場の自分が掲げた目標は、果てしなく、遠いところにあった。しかし、無名の公立校で、本格的な練習とは無縁だった逸材は、乾いたスポンジに水を落としたときのごとく、プロの世界で学ぶエキスを、ぐいぐいと吸い込んでいく。

 支配下登録は2年目の4月。3年目の2013年(平成25年)はセットアッパーとして活躍し、初の球宴出場。順調な成長曲線を描いてきた2017年、千賀はとうとう、入団時に掲げた大目標にたどり着くことになる。
 
 侍ジャパンの一員として、第4回WBCに出場。その活躍が認められた右腕は「オールスターチーム」にも選出された。
 今季は4年連続2桁勝利、ノーヒットノーランも達成、最多奪三振のタイトルも獲得した。

 もう、実力は「メジャー級」と呼んでも、言い過ぎではない。
 機は熟してきた。しかし、ただ憧れだけではない。自らの力を、さらに高いレベルで試したい。千賀にとって、そのためのモチベーションが「メジャー」という舞台でもある。

 だから、行ってみたい―ー。

 それぞれの“決意”を胸に、2人はプロ10年目のシーズンを迎える。

取材・文●喜瀬雅則(スポーツライター)

【著者プロフィール】きせ・まさのり/1967年生まれ。産経新聞夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で 2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。第21回、22回小学館ノンフィクション大賞で2年連続最終選考作品に選出。2017年に産経新聞社退社。以後はスポーツライターとして西日本新聞をメインに取材活動を行っている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)「不登校からメジャーへ」(光文社新書)

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