NBA

2020年“バブル王者”のレイカーズにロケッツの元GMがチクリ「あの時の優勝にはずっと注釈がつくことになる」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2025.07.31

リーグ戦中断、隔離施設での無観客開催など激動のシーズンとなった2020年。頂点に立ったのはレブロン擁するレイカーズだった。(C)Getty Images

 現地時間7月30日、米スポーツ専門メディア『The Athletic』に、2020年の‟バブル"を振り返る記事が公開された。

 2019-20シーズン、NBAは新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年3月11日をもってシーズンの中断を発表。世界中で感染拡大が広がるなか、リーグはフロリダ州オーランドのディズニー・リゾートに隔離された施設"バブル"を作り、プレーオフ進出の可能性が残された22チームが7月30日から8試合のシーディングゲームズ(順位決定戦)を行ない、同地でプレーオフも開催された。

 無観客で行なわれたプレーオフを勝ち上がり、チャンピオンに輝いたのはロサンゼルス・レイカーズ。レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス(現ダラス・マーベリックス)の2枚看板に、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ(現メンフィス・グリズリーズ)やカイル・クーズマ(現ミルウォーキー・バックス)、ダニー・グリーン、ラジョン・ロンド、アレックス・カルーソ(現オクラホマシティ・サンダー)ら役者が揃い、フランチャイズ史上17度目の優勝を飾った。

 しかし、これにケチをつけたのが、当時ヒューストン・ロケッツのGM(ゼネラルマネージャー)を務めていたダリル・モーリー(現フィラデルフィア・セブンティシクサーズ球団社長)だ。

 同氏は記事の中で「ロケッツがタイトルを手にしていたら、私は正当なものとみなして間違いなく祝福していただろう」とした上で、次のように語った。
 
「だが、リーグに関わる者たちとプライベートで話した際、あれを本物のチャンピオンシップとは言えないという意見に誰もが賛同していた。NBAバブルにおけるレガシーは今後も受け継がれていき、パンデミック期間に見せたリーグのリーダーシップは誇りに思うべきだ。たとえあの時の優勝に、今後ずっとアスタリスク(注釈)がつくことになろうとね」

 NBAのレギュラーシーズンは通常82試合だが、過去にもロックアウトによって1998-99シーズンが50試合、2011-12シーズンが66試合になるなど短縮されたケースがあった。

 1999年にサンアントニオ・スパーズが球団初優勝を飾った際には、当時レイカーズのHC(ヘッドコーチ)だったフィル・ジャクソンが、モーリーと同じように「注釈が必要だ」と指摘していた。

 2020年のプレーオフ、ロケッツはカンファレンス・セミファイナルでレイカーズに1勝4敗で敗れていたため、モーリーにとっては苦い思い出になっているのかもしれない。

 なお、当時レイカーズのアシスタントコーチで、来季からマーベリックスのコーチングスタッフに加わるフィル・ハンディは、自身のXで次のように反論している。

「好きなだけくだらないことを言えばいい。もし優勝するためにバブルにいなかったのなら、黙っていた方がいいかもしれないがね。ただ、あの時すべてのチームが、競争し、勝つためにバブルに来たんだ。もしヒューストンが我々に勝って優勝していたら、彼らも『本物の優勝じゃない』なんて言わなかっただろうね笑」

 特異なシーズンを経てレイカーズが手にしたタイトルには、今もなお様々な意見がつきまとう。だが、"バブル"という過酷な環境で最後まで戦い抜いた事実が、彼らの栄冠の価値を雄弁に物語っている。

文●秋山裕之(フリーライター)
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【動画】異例の“バブル”決戦を制した2020年レイカーズをプレーバック