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【コビー・ブライアント物語・Part3前編】探し求めていた“チーム”を作り上げ 大黒柱としてレイカーズを復活に導く

大井成義

2020.03.20

08年2月にグリズリーズからガソルの獲得に成功。強力な相棒の加入でコビーの負担は大幅に軽減され、同年にチームはファイナルまで進んだ。(C)Getty Images

 エースとして30点超えを連発するも、結果にはつながらず苦難の日々を送っていたコビーだが、2008年にレイカーズはオールスタービッグマンのパウ・ガソルを獲得。これにより大幅な戦力アップに成功したチームは、再び頂点に返り咲くことになる。

■実力者ガソルの獲得に成功し、チーム復活の道筋が見え始める

 現状のサポーティングキャストでは、自分1人がどれだけ頑張っても優勝争いに加われない。そんなチームの不甲斐ない状況に、コビーの苛立ちは限界に達しつつあった。

 プレーオフの敗戦から1か月が経った07年5月、持論をメディアにぶちまける。NBAライターのリック・ビューカーに、「ジェリー・ウエストをレイカーズに連れ戻して彼に全権を与えてほしい、そうすることをフロントが望まないならトレードしてほしい」と語ったのだった。グリズリーズで5年過ごしたウエストの契約が、この年の7月1日に満了を迎えようとしていた。

 同様の発言はその後も繰り返され、コビーの高圧的な主張や、捉え方によっては愚痴にも聞こえる発言に、ロサンゼルスのファンはうんざりしていた。

 07年10月30日、ステイプルズ・センターで開催された07-08シーズンの開幕戦。コビーは地元ファンから盛大なブーイングを浴びてしまう。レイプスキャンダルの時をはじめ、心ない地元ファンからブーイングされたことはそれまでも何度かあったが、この時のブーイングは尋常ではなかった。

 16年に『ESPN』のブライアン・ウィンドホーストが入手した情報によると、07年のオフにレイカーズはコビーのトレードを模索。ブルズやピストンズと合意直前まで行くも、コビーが拒否権を行使したため流れたという。なんとキャブズには、レブロン・ジェームズとのトレードを打診したそうだ。
 
 2月、レイカーズのフロント陣は大きな仕事をやってのける。グリズリーズからパウ・ガソルを獲得。コビーが渇望していた頼れるビッグマンが、ようやくチームに加入したのだった。

 ガソルは移籍後初試合でいきなり24得点、12リバウンドをマークし、6得点に終わったコビーに代わりチームを勝利に導く。レイカーズは試合を重ねるごとにチーム力を高め、タイトルコンテンダーへと変貌を遂げていった。デレック・フィッシャーは82試合すべてに先発出場してチームを鼓舞し続け、コンビ結成4年目となるラマー・オドムとコビーの息もますます合うようになっていた。レイカーズ復活への道筋が、徐々に見え始めていた。

 さらにコビーは仲間を信じることを覚え、選手同士の結びつきをより重要視するようにもなった。それが証拠に、このシーズンはチームメイトを数回食事に連れて行った。意外にも、それまで一度もなかったことだった。
 
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