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NBA

【名作シューズ列伝】ドリームチームで忘れられがちなレイトナーと「NIKE AIR FLIGHT HUARACHE」の悲しき運命

西塚克之

2020.07.01

デューク大を連覇に導き、学生でただ一人ドリームチーム入りを果たしたレイトナー。大会では全8試合に出場し、平均7.6分の出場で4.8点をマークした。(C)Getty Images

デューク大を連覇に導き、学生でただ一人ドリームチーム入りを果たしたレイトナー。大会では全8試合に出場し、平均7.6分の出場で4.8点をマークした。(C)Getty Images

 人に歴史あり。バスケにスーパースターあり。スーパースターにシグネチャーモデルあり。シグネチャーモデルにBOXあり! 

 初代ドリームチームのシグネチャーモデル第11弾、本編16箱目は、クリスチャン・レイトナー着用の五輪モデルに“なり損ねた”「NIKE AIR FLIGHT HUARACHE」(復刻版)のお話です。

 1969年、ニューヨーク州アンゴラで生まれたレイトナーは、88年にデューク大に進学。彼の加入で戦力アップに成功したデューク大は、4年連続でNCAAトーナメントのファイナル4に勝ち進み、91、92年にはチャンピオンに輝きました。

 4年間で平均16.6点、7.8リバウンドと好成績を残したレイトナーでしたが、好青年風のルックスとは裏腹に気性が荒く、自意識高めの発言やラフプレーも目立ったため、アンチも多くいました。しかしその実力は本物で、大学生として唯一ドリームチームメンバーに選出。ちなみにこの時、レイトナーのほかに代表候補に挙がっていたのがルイジアナ州大のパワーセンター、シャキール・オニール(シャック)でした。

 92年のドラフトでレイトナーはシャック、アロンゾ・モーニングに次ぐ3位という高順位で、ミネソタ・ティンバーウルブズに入団します。ルーキーシーズンに平均18.2点、8.7リバウンドをあげると、アトランタ・ホークスに移籍した96-97シーズンにはオールスターに初出場。NBAでもエリート選手になるかと思われましたが、その後は徐々に存在感が薄くなりジャーニーマン化。2004-05シーズンに在籍したマイアミ・ヒートでは同期のシャックとモーニングと一緒にプレーするも、平均5.3点、2.7リバウンドと平凡なスタッツに終わり。シーズン終了後に引退しました。
 


 92年当時、デューク大はチーム全員がアディダスのシューズを着用していました。私はアディダスがドリームチームモデルを製作することを期待していたのですが、レイトナーが選んだのはNIKE の「AIR FLIGHT HUARACHE」でした。

 シューズに搭載された“HUARACHE(ハラチ)”とは、タンとインナーを一体構造にし、伸縮性の高い素材で足全体を包みフィットさせるシステムで、Reebokのポンプシステムに対抗して開発されたテクノロジーです。素材は重量感のあるポンプシステムとは異なり、軽量でありながら伸縮性とホールド感を両立させた設計で、今でもこの考え方はフライニットなどに継承されています。

 NIKEは国を背負って戦うニューヒーローに新しいテクノロジーを託し、相乗効果を狙ったのでしょう。
 

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